ワークマン、朝昼晩で「変身」する新型店の全貌 プロの職人と一般客が共存できる店舗とは

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ワークマンは今回の改装により、従来1億円強だった同店の年間売上高を3億円へと引き上げる算段だ。当面は「実験店」という位置づけで、売り上げの推移や運用上の課題などを見極めたうえで、他店舗への展開も検討するという。

最近は有名ブロガーなど各分野のインフルエンサーの意見を企画段階から取り入れ、キャンプやスポーツなどでも利用しやすいデザインの商品開発を強化している(撮影:尾形文繁)

ワークマンは2018年から、アウトドアなどでも使えるPB(プライベートブランド)商品を全面に打ち出した新業態・ワークマンプラスの出店を開始。通常のワークマンと品ぞろえ自体は変えずに、商品陳列を工夫することによって一般消費者が商品を選びやすいようにした。

同時に、白色を基調にした洗練された店構えに変え、女性客が入店しやすい雰囲気を演出した。ワークマンは店舗の9割超がフランチャイズだが、目下ワークマンからワークマンプラスへの転換も進めており、2月末時点で全国856店舗のうちワークマンプラスは157店舗に達した。

一般客の増加で既存店は絶好調

なぜ今回、1つの店でワークマンとワークマンプラスの2つの看板を掲げようと考えたのか。ワークマンの土屋哲雄専務はその理由について、「プロの職人も一般のお客さんも共存できるお店を作る必要があった」と語る。

ワークマンの今2020年3月期の業績は、売上高905億円(前期比35%増)、営業利益189億円(同39%増)と、いずれも過去最高を更新する見通し。ワークマンプラスの出店拡大が寄与し、一般客の取り込みが順調だった。

ワークマンは現在でも建設作業員などのプロ顧客の利用が売り上げの過半を占める。高機能な作業服のほか、軍手や安全靴などの需要も底堅い(撮影:尾形文繁)

ワークマン既存店も快走を続ける。平日の早朝と夕方は出勤前や仕事帰りのプロの職人が来店するのに対し、昼間や休日は主婦層やシニア、家族連れなどの一般客が多く訪れている。同社の既存店売上高は、2019年4月から2020年2月までの累計で前年同期と比べて26%増と高い伸びをみせている。新型コロナウイルスが国内でも猛威を振るい始めた2月単月の実績も、前年同月比で27%増だった。観光客など人が多数集まる都心立地の店舗が少ないことも奏功した。

ただ、ワークマンプラスが多数のメディアで取り上げられ、一般客に認知が広がった結果、通常のワークマンの店舗に「ワークマンプラスは近隣にないのか」といった問い合わせが急増。ワークマンもワークマンプラスも同じ商品を取り扱っていることを顧客に説明しても、理解が得られにくいケースも多かった。今回の新型店では日中にワークマンプラスの看板を掲げることで、こうした一般客の需要をより確実に取り込む狙いがある。

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