フランス人もビックリ「日本のスゴい鉄道技術」 「5秒単位」のダイヤなんて普通ありえない

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日本の駅の自動改札機も技術的にすばらしく、1分間に60~80人が通ることができる。パリの地下鉄は速ければ、または故障中でなければ1分間に10人。技術レベルの違いがこんなに大きい。

ただ、パリの地下鉄で日本と同じ改札機にしたら、切符を買わずに通る乗客が多くなりすぎる。それを防ぐために、わざと通りづらい改札機にしている。しかも最近は無人のメトロの出入り口が多いから、切符や交通カードで問題があった場合、相談できる駅員がいない。

切符の自動販売機にしても、圧倒的に日本の技術のほうが優れている。電車のデザインも面白い。子どもはさまざまな車両の形や色が好きだ。ほとんどの日本人の男の子は一時期、「電車の運転士になりたい」と言うのではないか。

電車がうるさくて汚いパリでは、絶対に子どもたちはそんなことは言わない。

なぜ日本の鉄道関連技術を世界に売り込まないのか

こうした例はたくさんある。しかも日本のすばらしい鉄道関連技術、ダイヤの仕組みやほかのノウハウができたのは最近のことではなく、40年以上前だ。

けれど、なぜこんなにすばらしい技術とサービスが世界で広まっていないのか。他国の鉄道会社の経営者にとって、東京の電車の世界は次元が違うだろう。なぜ日本の鉄道会社はもっと積極的に海外の企業と提携し、自社の技術を売り込まないのか不思議だ。

もちろん、単純にすべてを輸出するのは不可能だが、自社の経験に基づいて相手方の欠点を大幅に改善できると思う。

これからも鉄道は世界中で重要な役割を果たす。比較的、地球に優しい乗り物だからこそ大都市では欠かせない交通機関だ。

そして、日本や日本企業にとってはチャンスになる。パリ首都圏の交通網を充実させるための「グラン・パリ・エクスプレス」計画に、日本の鉄道会社や車両メーカーはぜひ参加してほしい。

西村カリン(KARYN NISHIMURA)/1970年フランス生まれ。パリ第8大学で学び、ラジオ局などを経て1997年に来日。1999年からフリージャーナリスト、2004年からAFP通信東京特派員を経て、2020年に独立。著書に『不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人』など。
「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部

世界のニュースを独自の切り口で伝える週刊誌『ニューズウィーク日本版』は毎週火曜日発売、そのオフィシャルサイトである「ニューズウィーク日本版サイト」は毎日、国際ニュースとビジネス・カルチャー情報を発信している。CCCメディアハウスが運営。

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