利権にうごめくしたたかな「商人」たち--『排出権商人』を書いた黒木亮氏(作家)に聞く

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--排出権マーケットの今後は。

2013年以降の枠組みが決まっていないところだが、何らかの合意ができてマーケットは続いていくだろう。

排出権は、クリーン開発メカニズム(CDM)から生み出されるCER、共同実施(JI)からのERU、欧州連合排出権取引制度(EU−ETS)で使用されるEUA、旧ソ連や当方諸国の「ホットエアー」、民間のボランタリークレジットなどさまざまな種類がある。中でも、EUは主導権をとって地球の温暖化対策を手掛けようとしているから、必ず継続させていくのは間違いない。

ただ、13年以降の枠組みはこのCOP15では決まらない。メキシコのCOP16以前に何らかの形で決めるのか。手続きが遅れている。

--排出権マフィアもいるようですね。

専門性が高い領域だからありうる。たとえば、CDMプロジェクトの認証をするDOE(指定運営組織)は3社独占みたいになっている。管理・監督機関のCDM理事会メンバーが、「手続きを複雑にすればするほどコンサルタントは儲かるから気をつけろ」と、辞めていく際に言っていたともいう。

(聞き手:塚田紀史 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済))

くろき・りょう
1957年北海道生まれ。早稲田大学法学部卒、カイロ・アメリカン大学大学院修士(中東研究科)。銀行、証券会社、総合商社勤務を経て作家。2000年、国際協調融資を描いた『トップ・レフト』でデビュー。英国在住。


講談社 1785円

  

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