前田建設、「道路子会社」の特別配当に反対へ 「前田の乱」次の焦点は4月の臨時株主総会に

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前田建設工業による前田道路に対するTOBが成立したが、両社の間のしこりは残っている(写真左:記者撮影、〔右〕撮影:尾形文繁)

前田建設工業は3月13日、株式公開買い付け(TOB)の結果を公表し、持分法適用会社だった前田道路を子会社化したと発表した。

前田道路への出資比率は従前の24.68%から51.29%に上昇した。前田建設の計画どおりにTOBが実現したわけだが、前田道路はTOBに一貫して反対してきた。前田建設は投じた額に見合うだけの成果をあげられるのだろうか。

前田道路は前田建設の妥協案を拒絶

前田建設は前田道路のガバナンスの確立とインフラ運営事業の強化を狙い、1月21日から前田道路に対するTOBを開始した。買い付け価格は直近株価に約50%のプレミアムを乗せた1株3950円。3月12日までという買い付け期限で総額約861億円を投じた。

だが、前田道路は前田建設によるTOBに「具体的なシナジーがない」などと反発。前田建設に対し、資本提携の解消を申し入れ、1月24日にはTOBへの反対を表明した。

そして前田道路は、2月27日に同じ道路舗装業を営む業界最大手NIPPOとの資本業務提携の検討を始めた。前田道路は1株当たり650円、総額約535億円に及ぶ巨額の特別配当を行い、自社の純資産を圧縮してTOBの撤回を迫るという対抗策も打ち出した。

それでもTOBを撤回しない前田建設に対し、前田道路は妥協案を提示した。前田建設がシナジーを見込んでいるインフラ運営事業について協業の可能性を検討するワーキンググループを設置するほか、TOBの撤回や株式の買い増しの禁止、特別配当への賛成、前田建設が指名する社外取締役の選任などだ。

しかし、前田建設側はTOBの撤回や特別配当への賛同はのめないとして、提案を拒絶、TOBはそのまま成立した。

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