学級委員の彼が不登校になった「まさかの理由」 中高一貫の進学校に通う子が感じた負担

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11月ごろから日記に変わって自分の居場所になったものは、ゲームでした。

起きているあいだはひたすらスマホでゲームをしていました。僕がしていたゲームはほかのプレイヤーとチャットなどで交流できるものでした。

ゲームを通じて、やっと人と話すことができたんです。当時の僕は「死」まで考えそうになる気持ちを、ゲームをすることでギリギリ保っていたんだと思います。

――その後は。

親のすすめで、半ばムリヤリ通信制高校に転入しました。高校1年の3月のことです。

僕は転入後も学校へ行く気はなかったんですが、中卒や中退のまま生きていくのも正直、怖かったので「しょうがないか」と、とりあえず籍だけ置くことにしました。

その通信制高校は通学のほかに、家庭教師が来てくれるコースもありました。僕は週に1回2時間の家庭教師との勉強と、月に1回のカウンセリング、あとはひたすらゲームをする生活を続けました。

どん底まで落ち込んだ気持ちが上昇することはなく、ずっと深い沼のなかをさまよっているような日々がすぎていきました。

転機は宿泊合宿、味わえた“青春”

ですが、転機になることがあったんです。それは高校3年生の春でした。通信制高校の宿泊行事に参加したのですが、それが本当に楽しかったんです。

かなり険しい山登りをしたのですが、頂上についたときにはなんとも言えない達成感がありました。

それに、他校舎の生徒と一緒に料理をしたり、いろいろな話をして仲よくなったのがうれしくて。

「これが青春ってやつなのかな。やっぱり人と話すのって楽しいな」と思えたんです。

そして、もっとたくさんの人と話したり仲よくなったりするために、「学校へ行ってみよう」と思うようになりました。

だからそのために、ゲームの時間を減らしました。ゲームの楽しさより、友だちと話す楽しさのほうが勝ったんです。

――不登校からいきなり宿泊行事への参加は、ハードルが高くなかったですか?

はい。僕も、最初は参加するつもりはありませんでした。しかし、担当の先生に「行けばぜったい変わるよ!」と猛烈にすすめられたんです。

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