学級委員の彼が不登校になった「まさかの理由」 中高一貫の進学校に通う子が感じた負担

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そんなことをされても、いつもなら「ウザいなあ」と思うだけなんですが、あのときの僕は、不思議と「じゃあ行ってみようかな」と思えたんです。

なぜなのか、今でもわからないんですが、何かが変わる「タイミング」だったのかな、と。ただこれはかなり特殊な例だと思うので、あまり参考にしないでください(笑)。

高校へ行けるようになったので、次は大学に行くために受験勉強を始めようと思いました。

不登校だったときにスクールカウンセラーにとても救われたので、自分もカウンセラーになるために、大学で心理学を勉強したいと思ったんです。

そこで大学受験にチャレンジし、AO入試という制度で東京の大学に合格し、現在1年生です。

今は大学の勉強をしながら不登校経験者の集まる会に参加したり、ブログやツイッターで自分の思いを発信しています。毎日楽しくて充実していますよ。

たくさんの人に支えられて

――自分の不登校を今振り返ってどう思いますか。

本当につらかったですけど、かけがえのない経験であったのは間違いないですね。

不登校になってなかったら、会えなかったであろう人もたくさんいますし。そういう人に支えられたから今の僕があるんだと思います。

それから、不登校をしたことで自分の考え方が広がったな、と思います。

僕は学校のつらさも楽しさも、両方経験しました。不登校になったからといって、その前の「楽しかった学校」のイメージは消えませんでした。だから学校のやっていることを全否定はできないんです。

これって、ずっと学校が楽しかった人からも、ずっと学校が苦しかった人からも出てこない考えじゃないですか。そういう意味で、自分なりの視点を持つことができました。

でも、これらはあくまで「今だから言えること」であって、現在、苦しんでいる不登校の子に対して「絶対よくなるよ」なんて口が裂けても言えません。

僕が言えることがあるとしたら、「話を聞きたいな」ということです。もちろん、つらい気持ちなんて、話したいと思える人にしか話したくないですよね。

だから、もし僕を選んでもらえるのであれば、ですけど。僕は「人に話すこと」で気持ちが落ち着いてきました。だから今度は僕が苦しんでいる人の話を聞きたいです。

――ありがとうございました。

(聞き手・茂手木涼岳、撮影・矢部朱希子)

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日本で唯一の不登校専門紙です。不登校新聞の特徴は、不登校・ひきこもり本人の声が充実していることです。これまで1000人以上の、不登校・ひきこもりの当事者・経験者が登場しました。

また、不登校、いじめ、ひきこもりに関するニュース、学校外の居場所情報、相談先となる親の会情報、識者・文化人のインタビューなども掲載されています。紙面はすべて「親はどう支えればいいの?」という疑問点から出発していると言えます。

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