オリックス生命、業界生え抜き社長の秘策とは? 死亡保障の強化に本腰、グループの中核めざす

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――オリックスグループは米国会計基準に依拠しており、オリックス生命も同基準では黒字が拡大しています。その反面、日本基準では赤字が続いています。ソルベンシー・マージン比率を維持するために、2月には親会社を割当先に150億円の増資を実施しました。

新契約が急激に伸びている当社の場合、新契約費用がかさむために日本基準では大幅な赤字になってしまう。日本基準で黒字にするには新契約をスローダウンするほかないが、そんなことは考えていない。今の赤字は健全な赤字だと認識している。言い方は難しいが、日本基準も気にしながら、成長を重視した経営をしていきたい。

親会社の井上社長からは、単体で上場できる会社をめざしてくれと言われている。そのためにも、いずれは日本基準でも黒字にしていかないといけない。

――社長就任から2カ月が経過したが、社内の掌握はできましたか。

実質1カ月の間に、本社部門の課長以上の全員と話をする機会を持った。少人数でのランチミーティングを1カ月かけて毎日開催した。

――そこではどんな意見が出ましたか。

これまでは確かに成長してきたが、今後については課題があるということについて、ほぼ全員が同じ認識を持っていた。商品やチャネル展開などでいろんな意見があった。直販部門を持つべきだとか、銀行窓販にチャンスがあるとか、インターネット生保も伸ばす余地があるなど、前向きな話が多かった。

死亡保障をメインとした第一分野の強化が先

――銀行窓販や貯蓄性商品の販売の可能性はどうですか。

一時払い終身保険や一時払い年金保険の市場は確かに大きい。しかし、収益効率はよくない。展開の順序としては後ろのほうだろう。むしろそれよりも、死亡保障をメインとした第一分野の強化が先だ。ここで物を言うのがコンサルティングの質だ。

――ネット生保は今後どう展開していきますか。

ネット生保業界は伸び悩んでいるが、成長の可能性はある。所管部門とも打ち合わせをしたが、今後さまざまな取り組みをしていきたい。ある調査によれば、インターネット完結で十分という方は1割程度。これに対して、情報集めはインターネットでも、契約に至るまでに信頼できるプロに相談したいという方が全体の2割程度いる。当社は代理店チャネルを持っているので、合わせて3割程度の方に、インターネットを通じてアプローチできる。ここで新たなビジネスモデルを作ることができないかと考えている。
 

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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