日米の株価が「底値圏」に達したと言えるワケ 「底値」と「底値圏」は違うことに注意が必要

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理論的には、PBRが1倍を割り込むことはおかしい。しかし現実には、2009年初のリーマンショック後の局面や、2012年の欧州財政懸念時には、長い間、市場全体で1倍を割れて推移していた。当時の最低値は、2009年で0.81倍、2012年で0.87倍だ。

3月13日(金)の日経平均株価の終値は1万7431円で、PBR(加重平均ベース、日本経済新聞社による算出値)は0.84倍なので、リーマンショック時並みの0.81倍まで低下するという前提では、日経平均株価は1万7431÷0.84×0.81=約1万6800円となる。これは同日のザラ場最安値1万6691円に近い。この点から、日本の株価も、十分に下落を遂げたと考えられる。

とは言っても、今後もしばらくは、株価の上下動(上にも下にも)は極めて大きいままだろう。投資家心理は落ち着いておらず、株価の方向感や水準感を失った向きも多いと推察される。多くの投資家が様子見を続けるなか、一部「人間の」投資家の投げ売りやツッコミ買い、「人間ではない」投資家(アルゴリズム取引など、システム売買)の売りや買いが嵩んで、さしたる材料もなく株価指数が上下に跳びまわることが、これからも頻繁に起こると懸念される。

株価水準そのものについても、前述のような分析から、株価は「底値圏」にあると考える。ただし「底値」と呼ばず、「底値圏」と述べているのは、まだ下値リスクは残っており、本当にどこが底値かは、少なくとも筆者にはわからないからだ。前述の下値メドから、ニューヨークダウや日経平均が、1日に1000ドルや1000円以上下振れすることがあっても、全くおかしくはないし、逆に、そのような下振れは、全く起こらないかもしれない。

望ましい投資姿勢と、当コラムの活用法とは?

このため、引き続き、信用取引やレバレッジをかけたCFD取引などは、買いも売りも勧めない。現物株や株式ファンドを、コツコツと買う投資姿勢を勧める。積み立て投資を中心としている投資家は、別に何も変わったことをする必要はない。最も重要なのは、最安値で投げ売りすることだけは避けることだ。

なお、こうした投資姿勢を勧めるのは、あくまでも筆者自身の考えに過ぎない。もし読者が「短期的な荒れ相場で、レバレッジをかけた取引手法によって、思いっきり儲けてやろう」と考えるのであれば、お好きなようになさればよい。

投資においては、法律などをおかさない限り、自己責任を取れば(誰のせいにもしないのであれば)何をやるのも自由だ。ただ、一つだけそうした方にお贈りしたい言葉がある。

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