定年で「肩書を失った人」が感じる大いなる喪失 「出世=運」と思っていてもいざとなれば切実

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とはいえ、会社人事の9割はたまたまであり、現役時代の肩書なんてものはたまさかの僥倖である。しかし、現役時代(=定年前)なら「出世は運」と笑い飛ばせても、いざ戦力外(=定年後)になると肩書は切実になる。人間とは実に厄介な存在なのだ。

横綱は諦めても相撲は諦めない

生前葬が消滅した定年後は、まさに人生のクライマックスへの突入期だ。人生の起承転結の結が「死」ならば「承」の終わりが定年で、「転」の再雇用、雇用延長で大どんでん返しが期待できる。“余熱”が冷める瞬間はしんどいかもしれない。だけど、1度立ち止まって、勇気を持って具体的に動けば、有意味感を手に入れる第1歩となる。それは会社から与えられた肩書の呪縛から逃れ、自分の価値を自分で作る絶好の機会だ。

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かつて「中高年の星」と呼ばれた元大関の魁皇は、潔く“横綱”を諦めながらも、粘り強く“相撲”を諦めなかった。それと同じように「会社での立場」は諦めても、粘り強く「働くこと」を諦めなければいい。

もはや勝つことにこだわるのは無意味だ。生き延びればいい。右往左往してもいいからそれまでこだわっていたことを諦めると、案外次に動きだしやすくなるものだ。

「定年って、『シン・レッド・ライン』みたいなもんですよね」と話してくれた男性がいた。定年=ルーティンの喪失は、地雷だらけの人生と戦うエネルギーを奪っていく。だが、新しいルーティン作りに励めば、厳しさに耐える土台ができる。それを可能にする力を人間は秘めているのだ。

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