イラン「新型コロナ致死率」が突出して高い事情 体制の情報隠蔽疑惑に世界から厳しい視線
世界的に感染が広がる新型コロナウイルスは、中東のイランでも拡大、中国に次いで死者数をイタリアと争う展開になっている。イランはウイルスの「培養器」とも揶揄されており、中東で広がり始めたコロナウイルスの震源地だ。
イラン当局が発表したところでは、新型コロナウイルスの感染者数は7161人と、イランの31州すべてで確認されている。発表によると、死者数は237人に上るが、独立したメディアが存在せず、情報統制が行き届くイランの発表には重大な疑義が呈されており、実態はさらに深刻との見方が強い。
すでに数十万人が感染との見方も
感染者が拡大している背景には、アメリカのドナルド・トランプ政権による経済制裁に伴う経済悪化や、イスラム体制の専横的な政策や隠蔽体質、科学よりも宗教的な価値観を優先させる前近代的な土壌がある。
実際、国民のイスラム体制に対する不信感が高まる中、2月11日にイスラム革命記念日の行事を実施したほか、21日に行われたイラン国会選挙の投票率を優先させるなど、コロナウイルス拡大の実態を隠したり、過小評価していた可能性が取りざたされている。
イランは、イスラム革命前後に海外へ逃れた人が多いことに加え、イランの国教であるイスラム教シーア派の聖地をシーア派信徒が訪れることから、航空機を使った人々の国際的な移動が多い。
このため、イランに感染源を辿れるウイルス感染の症例が、イラン移民が多いカナダ、イランとの貿易や交流が活発なアラブ首長国連邦(UAE)、シーア派信徒が多いレバノンやオマーン、バーレーン、クウェート、イラク、アフガニスタンなどで確認されている。
アメリカの『ジ・アトランティック』誌によると、カナダの大学の研究論文がイラン起源の感染例からイラン国内の感染者の数を推定したところ、2月23日の段階で1万8300人だった。3日ごとに発表される公式的な感染者の数は倍増しており、すでに58万6000人に上っている可能性があるという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら