コロナショックは太陽の黒点と関係があるのか リーマンショック時もピタリと一致していた
[東京 9日 ロイター] - 「2020年夏ごろまでに世界金融市場を揺るがすリーマン級のショックが起きる可能性がある」──日本銀行出身のクレディ・スイス証券チーフエコノミスト、白川浩道副会長は、昨年10月から国内外の顧客に向け発信を始めた。太陽活動の活発さを示す黒点の数のサイクルが極小期に差しかかり、「金融市場の大波乱が近い」との予兆を認識したのだ。
だが、米国ではS&P総合500種<.SPX>が連日で史上高値を更新し、日本でも日経平均<.N225>が1年超ぶりに2万3000円台を回復。日米の金融市場がそろって楽観ムードに覆われていた時期であり、各種経済指標も堅調だった。
白川氏自身、どこにリスクの芽があるのか測りかねた。「経済データが底堅さを維持する中で、黒点だけがとんでもないことが起きるリスクを示唆していた。エコノミストとして投資家に説明するにあたり、全体の整合性をどのように取るか頭を悩ませた」と振り返る。
太陽活動極小期と金融市場ショックの符合
同氏によると、直接的な因果関係やメカニズムは未だ解明されていないものの、過去の世界的な金融市場ショックと太陽活動の極小期はピタリと符合する。極小期は約11年(実際には9─13年と幅がある)周期で訪れるが、前回は2008年で、リーマン・ショックに端を発した世界的金融危機と一致。前々回は1996年でアジア通貨危機の、またその前は1986年でブラックマンデーの、それぞれ予兆となったと解釈できると言う。
それが欧州研究機関の観測で昨年後半に新たな極小期に差しかかった可能性が高まり、10年余りにわたり太陽の黒点の増減サイクルに注目してきた白川氏は「ショックイベントがどこからか降ってくる、とんでもない所から弾が飛んでくる可能性を警戒しておく必要がある」と、リスクの源は特定しない形で顧客に警鐘を鳴らした。
これに対し、顧客の反応は分かれた。きょとんとする投資家がいた一方で、ヘッジファンド勢の一部は強い関心を示したという。