「人口は5000人少しだが特急が止まる。いわば便利な田舎です。ニセコや洞爺湖、登別温泉、札幌、函館には勝てないけれど、縄文時代から北方・南方の交易地。イベントにも人が集まりやすい。新幹線開業で人の流れが変わる。つまり、地域の血流が変わるんです」と、加藤課長は見通す。
ただ、公共交通網の先行きは不透明だ。長万部―黒松内間は、函館本線で乗車2駅、約20分ながら、列車は長万部行きが1日5本、黒松内方面行きが4本にすぎない。
かつて2往復していた路線バスは、2019年12月から1往復・日曜祝日運休になり、廃止も視野に入っているとされる。
また、長万部―豊浦間は室蘭本線で結ばれているものの、行き来に利用できる普通列車は長万部行きが1日5本、室蘭・苫小牧方面行きが4本にとどまり、路線バスは走っていない。
11年後の地域の足はどうなる?
全国の整備新幹線地域でも、函館本線沿線は津軽半島北部と並び、地域の社会的、経済的環境が厳しい。しかも、北海道新幹線の延伸時、函館本線は並行在来線としてJR北海道から経営分離される。11年後、地域と住民の足はどうなるのか。
北海道新幹線のルート公表から今年は22年目、ちょうど待ち時間の3分の2がすぎたことになる。まだ先の道のりが長いこの段階に、「はしっこ同盟」が動き出した意義とインパクトは大きい。
大半のまちが具体的なアクションを起こせない時期の、しかもコンパクトながら、地域そのもののつくり変えを視野に入れた活動だからだ。これから札幌延伸まで、3町は人口や産業に必ずしも恵まれない地域を、どう深く広く変えていくのだろうか。
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