被差別部落訪れた外国人が日本人に伝えたい事

「知らないこと」の楽さに慣れないでほしい

2つ目の懸念は、番組が日本で暮らすアフリカ系の人々を差別されているというレッテルが貼られる分類に結びつけることで、ただでさえ不確かな日本での黒人の立場をさらに悪くするのではないか、ということだった。

それでも、この番組に、貴重で歴史的な何かの一部になりうる可能性を見出した。それは懸念をも上回るものだった。この番組は、今も続く被差別部落出身の人々への差別への意識改革を促す可能性があり、それによって日本で差別についてより広い範囲の議論を巻き起こすかもしれない、と考えたのだ。問題の解決は、問題が存在すると思う人がいなければありえない。そして私はこの番組の核心は正しい位置にあると思った。だから、出演を了承した。

被差別部落出身の人々とは多くの共通点があると感じた

今回の経験を通じて学んだのは、単に被差別部落出身の人々とアフリカ系アメリカ人との間にかなりの共通点があるということだけではなく、私たちの歴史と経験がほとんど並行する時間軸上にあるということだ。その対称性は正直に言って衝撃的だった。

例えば、私たちはどちらも、同胞から露骨であからさまな敵意を向けられ、時には暴力を受けてきた。そしてどちらもこうした非人道的な扱いからは”解放”されたものの、政府が巧妙に許してしまっている事実上の差別にさらされ続けている。そして、1960年代から70年代は人権運動を闘い、「積極的差別是正措置」という脳腫瘍をアスピリンで治すのと同じような解決策を与えられた。

そして、私たちに対する差別は今日に至るまでほぼ同じ理由で続いている。アメリカ人にしても、日本人にしても、アフリカ系アメリカ人や被差別部落出身の人々がそれぞれの社会にどれだけ貢献しているかということを十分に理解できていないためだ。

例えば太鼓や三味線、あるいは能といった伝統文化の発達を被差別部落出身の人々が担ってきたという常識を知っている人が多ければ、彼らは差別ではなく、賞賛されるべき人たちだとわかるだろう。

今では最初の懸念が恥ずかしく思える。実際には、世界中で社会の隅に追いやられ、人間としての尊厳を奪われている人々は相当に共通点を持っているし、少なくともそうした人々にはある共通する敵がいる。それは「無知」という敵だ。だから無知と闘う番組に参加できたこと、そして被差別部落出身の人々のコミュニティーで過ごした時間のなかで出会った勇気ある人々と親しくなれたことが誇らしい。

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