はたして「MMT」は画期的な新理論なのか暴論か

経済学主流派の欺瞞を暴いた新理論の正体

「MMT」のどこが正しく、どこが間違っているのでしょうか(写真:khadoma/PIXTA)  
いま世界で注目を集めている「現代貨幣理論」(Modern Monetary Theory)。「政府が自国通貨建てで支出する能力に制約はなく、財政赤字や国債残高は気にしなくてよい。したがって、税収ではなく、インフレ率に基づいて財政支出を調整すべき」という大胆な主張を展開し、経済学主流派を激しく動揺させている。はたしてMMTは画期的な新理論なのか、暴論なのか。日銀出身の経済学者・岩村充氏の最新作『国家・企業・通貨 グローバリズムの不都合な未来』から、MMTについての議論の一部を紹介しよう。

反緊縮系リベラルの「期待の星」

MMTの核心にして従来の政策論と異なる部分は、財政に関するルールを考えるとき、何が何でも借金は悪だという思い込みから脱し、財政規律をインフレ率基準に切り替えるべきという主張をするところにあると思います。つまり、財政の運営目標を収支均衡に置くのではなく、インフレ率が高くなったら増税し、デフレが問題になったら減税する、それで悪くないだろうという主張です。

確かに悪くない、そういう気もするでしょう。現在の金融政策についての考え方は、インフレ率を基準に政策を運営し、インフレ率が上がってきたら引締め、下がってきたら緩和というものですから、MMTは、そこでの金融政策という部分を財政政策に置き換えただけで、その観点からは確かに悪くないような気がするはずだからです。

彼女たちの主張は、従来の主流派ともいえる経済学者たちが当然としてきた金融政策ルール(「テイラールール」など)の財政政策版だとも言えるわけです。

そして、その応用問題として、インフレ率が問題になるほどに上昇し始めたら財政を抑えればよいのだから、それが問題になっていない今のアメリカなら、財政は福祉の充実とか教育の無償化などにもっと力を注げるはずだ、という政策主張が導かれた。

それが新古典派的な均衡財政論の下で鬱屈していたアメリカ民主党の「反緊縮」系リベラルの人たちに歓迎されたというのが、ここにきてMMTがにわかにブームになった背景なのでしょう。

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