阪堺線の車両も走る…「カナダ鉄道旅」のツボ 広い国土に少ない人口、日本とまるで違う

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バンクーバー出発後、間もなくドームカーの案内があり、ドームカーやラウンジはいつでも利用できるとのこと。1000km以上離れたエドモントンまでの停車駅はカムループスとジャスパーのみ、そのほかの駅は予約があれば停車という扱いである。

列車は人口希少地域の大自然の中をひた走り、日本では経験できないスケールの大きな車窓が楽しめる。心身のリフレッシュには最適な鉄道旅である。

旅客の対向列車はないが、長大な貨物列車は頻繁に現れる。貨物列車は何本もの列車が連続して運行しているようで、5~10kmくらいある信号所に3本くらいの貨物列車が停車して「カナディアン号」の通過を待っている。

貨物列車の通過待ちなどで列車は遅延していたが、ジャスパーで1時間30分の停車時間があるので、そこで取り戻せると思っていた。しかし、実際には乗客全員がホームに出され、車内清掃があり、機関車では給油作業があるので遅れは取り戻せなかった。それどころか、さらに遅れている上りの「カナディアン号」待ち合わせで遅れは縮まるどころか大きくなった。結局エドモントンには定刻より3時間30分遅れで到着した。

これだけ遅延していても遅れを気にしているような乗客はおらず、時計を見ながら「定刻なら今頃は……」などと気にしているのは日本人の自分だけであるのに気づいた。しかし、この列車に乗るならバンクーバー発がオススメである。理由は、トロント発に乗ってカナディアンロッキーの景色を楽しもうと思っても、大幅遅れで、ハイライトの車窓区間が夜になってしまうなどは十分考えられるからである。

乗車券はVIAレールカナダのウェブサイトから予約、その画面を印刷したものが乗車券で、現地窓口などでの手続きは不要である。「カナディアン号」では車窓を思う存分楽しむことができ、乗客も列車の旅を好んで乗車しているので、終始和やかな雰囲気が楽しめたのである。

阪堺電気軌道の旧型車がカナダで活躍

北米では最北の100万人都市であるエドモントンには、2路線のLRTがあるが、そのほかに1路線のハイ・レベル・ブリッジ・ストリートカーと呼ぶ観光用路面電車がある。このような名称になったのは、路線のハイライトが北サスカチュワン川に架かる橋の上部を走行することからである。

特徴的なのはその車両で、元セントルイス、元メルボルン、そして大阪の元阪堺電気軌道で活躍した車両が、それらの都市で使われていた当時のままの姿で運転されていることだ。夏季のみ運行で、平日は1両、週末は2両で運行する。

日本から遠く離れたカナダ北部の地で親しまれている日本の路面電車の姿に、鉄道ファンとしてうれしい気持ちになったのであった。

谷川 一巳 交通ライター

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たにがわ ひとみ / Hitomi Tanigawa

1958年横浜市生まれ。日本大学卒業。旅行会社勤務を経てフリーライターに。雑誌、書籍で世界の公共交通機関や旅行に関して執筆する。国鉄時代に日本の私鉄を含む鉄道すべてに乗車。また、利用した海外の鉄道は40カ国以上の路線に及ぶ。おもな著書に『割引切符でめぐるローカル線の旅』『鉄道で楽しむアジアの旅』『ニッポン 鉄道の旅68選』(以上、平凡社新書)などがある。

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