阪堺線の車両も走る…「カナダ鉄道旅」のツボ

広い国土に少ない人口、日本とまるで違う

私はこの鉄道に全線乗ってみたかったが、下りに乗ると郊外で1泊しないと帰って来られなくなるので、先述のスカイトレインで戻ることのできる途中駅まで乗車した。2階建ての車内は全席ゆったりしたボックスシートだが、満席で出発、全員が帰宅するサラリーマンとOLという感じであった。仮に15時50分の便で帰宅、自宅が終点付近だったとしても、夏季の日没は22時くらいなので、帰宅してから4時間は明るい時間となり、ライフスタイルの違いを感じる。

それにしても、これだけの車両がありながら、週末は郊外へのレジャー客、中心街への買物客、あるいは郊外に大学を誘致して双方向の需要発掘……、こういったことを考えないという姿勢にも驚かされてしまう。しかし、こういった通勤に徹した列車はアメリカでも珍しい存在ではなく、ほかにも同じような例は散見されるのである。

カナディアンロッキーの車窓を満喫

バンクーバーからエドモントンまではVIAレールカナダの「カナディアン号」を利用した。VIAレールカナダは旅客鉄道会社だが、カナダの鉄道は貨物列車のためにあるようなものなので、線路などの施設は貨物鉄道会社が保有し、そこにごく少数ながら旅客列車も走らせてもらっている程度である。

「カナディアン号」はカナダを代表する長距離列車で、バンクーバー~トロント間を4泊5日で走破する。しかし、ハイライトはカナディアンロッキー越えの車窓なので、バンクーバー~エドモントン間1224kmの1泊2日分、所要27時間50分のみ乗車した。利用者の多くもこの間のみ乗車する。週2便の運行で、夏季のみ利用者の多いバンクーバー~エドモントン間の区間列車が1往復追加される。

ディーゼル機関車2両が20両ほどの客車を引くので、先頭車両から最後尾車両までは400m以上になる。そこで始発のバンクーバー駅では編成を2本に分けてホームに停車していた。客を乗せてから前部が出発し、バックして後部に連結、長い編成となって出発する。

普通車、寝台車、特別寝台車と続き、普通車に1両、寝台車に2両、特別寝台車に1両のドームカーという景色を楽しむための車両を連結、ドームカーの下階はラウンジと売店である。特別寝台車のドームカーは最後尾の景色も楽しめる。寝台車には食堂車も連結、普通車には食堂車はないが、売店で買った食事を座席やラウンジなどに持ち込めるほか、食事のスペースもある。

私は普通車を利用したが、座席間隔が広いので1泊2日の行程なら快適であった。驚いたのは、定員制の自由席だったことで、着席すると車掌が行先を記したカードを荷物棚に挟んでいった。これを見ると、普通車でもトロントまで乗り通す客もいた。

利用者は「列車の旅をしたい」という客である。カナダ国内はLCCが発達していて、空を飛んだほうが安く、速く、便数も多く、時間にも正確である。列車のメリットは「景色を眺めながらのんびりと」以外にはない。

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