「日本版ムーク」が秘める巨大インパクト 産学連携で進む新たな教育事業とは?
こうしたコーセラの急成長を受け、米国ではハーバード大とMITが折半出資する「エデックス」、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏も出資する「カーン・アカデミー」など、続々とムークが設立された。この動きは欧州にも飛び火し、2013年には英国やフランス、ドイツでもムークが新設されている。
日本では2月から募集が本格化
日本でも昨年11月に、企業と大学が連携した日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)が立ち上がった。慶応大学の村井氏は、2011年に国際連合がインターネットへのアクセスを故意に遮断することが人権侵害にあたると報告書を出したことを引き合いに、「教育を受ける基盤とインターネットへのアクセスが結びついた時代が来た」と期待を寄せる。
日本版ムークは今年2月から「日本中世の自由と平等」「インターネット」「国際安全保障論」の3講座で本格的に募集を始め、すでに会員は1万人を突破している。「高校生にもぜひ見てもらいたいが、大部分は社会人になるだろう」(事務局長を務める福原美三・明治大学特任教授)。
近日中には「経営入門」「マンガ・アニメ・ゲーム論」といった集客が期待できそうな授業も開講する。福原氏は「2015年3月までに100大学に参画してもらい、3年間で100万人の受講者を集めたい」と意気込む。
大学側にとっても、授業を公開することで“知の普及”という本来の役割を果たせるほか、研究水準の高さをアピールできる。さらに優秀な学生の囲い込みも可能だ。エデックスに参加する京都大学は、4月に開始する「生命の化学」という授業で、優秀な成績をおさめた海外からの受講生1人を国費留学生として推薦する計画だ。
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