レトロな木造「嘉例川駅」は空港アクセス抜群だ 意外な「空港最寄り駅」で楽しめる旅の風情

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レノファ山口FC戦で利用したとき、草江駅でスタンプラリーに興じる子どもたちを見かけた。調べると宇部市などで作る「JR宇部線利用促進協議会」の活動のようだ。

外壁に絵が描かれたJR宇部線の草江駅(筆者撮影)

その翌年訪れると、駅舎の外壁に絵が描かれていた。地元の方々と絵画アーティストで協力して作り上げたという。継続してさまざまな取り組みをしていることがわかる。

こういったプロジェクトは沿線住民の利用向上が目的だが、外部の者が見ても楽しいし、応援もしたくなる。時間があるときは、あえて不便と思われる移動をしてみると、興味がわく出来事に出合うことがある。

出張の移動でも絶景に出会える

長崎空港

長崎空港は長崎市内からは遠い。大村市にあり、長崎駅までの所要時間はリムジンバスで45~55分である。けれどもJR大村線の大村駅までは路線バスで10分程度である。タクシーを使ったとしても1700円前後だ。

そこで、長崎本線と大村線の列車で移動してみることも考えてみよう。

長崎本線は、長崎駅から諫早駅 (正確には浦上駅―喜々津駅) まで、険しい山間やみかんの段々畑を経て海沿いを進む非電化の旧線と、トンネルを突っ切る新線がある。時間はかかるが、旧線を選ぶと車窓の変化を楽しめる。「長与経由」と表示がある列車がその目印だ。

もう20年ほど前になるが、仕事で長崎市内によく通っていた。最初はリムジンバスを利用していたが、空港が大村駅から近いことに気づき、何度か列車も併用した。

大村湾沿いを走る大村線。長崎空港は大村駅から近い(筆者撮影)

当時は今のような働き方改革などなく、夜遅くまで仕事をしていた。くたくたになって宿泊し、翌朝の便で東京に戻るとき、少し早起きして長崎駅から旧線と大村線経由で佐世保方面に向かう列車に乗った。冬のある日、思いがけず出会った雪景色の山々や、温暖な春の朝日を浴びる大村湾を眺めるだけで、仕事でくたびれていた気分が晴れてきたことを思い出す。

大村線は穏やかな海が広がる路線である。実のところ、空港最寄りの大村駅からは、諫早・長崎方面とは反対側の佐世保方面の景色がいい。途中の千綿駅などは湾の間近にあり、駅舎にはカフェもある。ゆっくりと走るディーゼルカーから、きらきらと陽光を反射する海を眺めるのはぜいたくな時間だ。私自身、空港からV・ファーレン長崎の本拠地、諫早に向かうとき、バスでわざわざ逆方向の佐世保に向かい、大村線の全線を堪能したことがある。

サッカーに限らず、自分が応援しているスポーツチームや、アイドル、バンドの応援で遠征を計画するとき、これからどこかに旅に出てみよう、というときは、目的地だけではなく、この空港はどこにあるのだろう、と目を向けてみると新たな発見や楽しさを見つけられるかもしれない。

なお、本稿はJリーグ開幕時期に合わせて準備したが、現在の状況は周知の通りだ。気兼ねなくイベントに参加したり国内外の旅ができる、いつもの日々に、少しでも早く戻ることを願っている。

八田 裕之 週末旅行家

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はった ひろゆき / Hiroyuki Hatta

1967年生まれ。武蔵工業大学(現:東京都市大学)工学部電子通信工学科卒。JR全線完乗した鉄道ファンにして、Jリーグをこよなく愛する。平日は会社員だが休日はJリーグ遠征で全国奔走の日々。フュージョンバンド「Quiet Village」のリーダーとしてギターと作曲を担当、オリジナルアルバム発表、鉄道コンピレーションアルバム参加など、音楽活動も行う。

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