本数は多いのに「実は不便」な通勤路線の特徴 等間隔でも「使える列車」にはばらつきが

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ではどんなダイヤなら、いつでもおおむね平等な待ち時間になるのか。その例を紹介する。

京王井の頭線

急行と各駅停車合わせて毎時15本を運転する京王井の頭線では、本数を変えずに急行と各駅停車の比率を変えることによってこの問題を解決した。

かつては12分間に急行1本・各停2本が入る形で、1時間当たり急行5本、各駅停車10本の比率だった。各駅停車の半数が途中の永福町で急行に追い抜かれるダイヤで、有効列車(急行と、急行に抜かれない各駅停車)は1~11分間隔とばらつきがあった。

その後のダイヤ改正で急行も各駅停車も1:1の比率に改められ、基本的に各駅停車はすべて永福町で急行に追い抜かれるパターンとなった。これによって有効列車は急行だけとなり、有効本数は毎時10本から7~8本に減ったものの、間隔は8分に均一化された。

【平日12時台・井の頭線渋谷駅発時刻】
04(急)05 12(急)13 20(急)21 28(急)29 36(急)37 44(急)45 52(急)53 59(急)
【永福町以遠吉祥寺まで先着する列車】
すべての急行(各駅停車は全列車が永福町で急行に追い抜かれる)

東急田園都市線

東急田園都市線も、かつて鷺沼から都心へ行く場合は15分間に急行1本と渋谷まで先着する各駅停車1本、桜新町で急行に追い抜かれる各駅停車1本の構成であった。毎時8本ある渋谷への有効列車(急行と、渋谷まで先着する各駅停車)の間隔は1~14分間隔であった。

だが、その後のダイヤ改正で、二子玉川で渋谷行きに接続する大井町線直通急行が誕生。さらに準急の運転も加わった。これにより各駅停車と急行系列車の本数の比率が1:1になった。

急行または準急だけが渋谷先着列車になり、渋谷へ行く際に有効な列車の間隔は7~8分おきとほぼ均等になった。

【平日12時台・田園都市線鷺沼駅発時刻】
06(急)07 13(大)15 21(急)22 28(準)29 35(急)36 43(大)44 51(急)52 58(準)59
【渋谷に先着する列車】
0613(大)21283543(大)5158
(大:大井町行き急行、二子玉川で乗り換え)

一定の犠牲はやむを得ない?

小田急線

小田急線は、以前のダイヤでは急行が毎時4本、快速急行は3本の運転で、快速急行は急行の18分後、かつ後続の急行の2分前に新宿を発車するダイヤだった。これだと新宿から町田方面へ行く場合に使える列車は2~18分間隔でばらつきがあったが、その後のダイヤ改正で急行は10分おき、快速急行も10分おきになり、いつ新宿駅から乗るにしても無駄に待たされることはなくなった。

さらに複々線の完成によって、朝ラッシュ時は快速急行・各駅停車が5分おき、通勤急行と通勤準急が交互運転で5分おきにそろえられた。各駅停車は1時間最大12本に増え、半数が千代田線直通になった。

融通が効かない部分も出た。新宿行きの各駅停車が1時間最大9本あったのがパターンに合わせるために6本に減らされ、代々木八幡、参宮橋、南新宿の3駅は運転間隔が平均6分40秒から10分に広がった。それでも他の大多数の区間は便利になった。全体最適を考えるなら、一定の犠牲は仕方ないと割り切るのも手という事例である。

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