簿外を含め負債7000億円?の大和ハウス、REIT戦略で負債圧縮を狙う

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NCR破綻の原因は資金調達難にあり、保有する賃貸マンションなど資産内容は悪くないという見方が強い。大和ハウスの支援でNCRの破綻懸念が消え金融機関からの信用が上がれば、調達金利が低下し金利負担も軽減される。

他にもメリットはある。「再建スキームで生じる負ののれん代約400億円を使って、保有資産の入れ替えが可能になる」(小川副社長)。損切り覚悟で利回りの低い賃貸マンションなどを売り、利回りの良い物件に切り替える。全体の資産内容や利回りを改善し、投資口価格の上昇など新REITの評価を上げる。そうなれば、大和ハウスが開発した物件を「利益相反にならない」適正価格でという前提で、売却する道も広がる。

合併新REITには主にレジデンシャル(賃貸マンションなど)を、上場を断念した私募の大和ハウスリートにはSCなど商業施設を主に供給する。しかし同社の構想はこれにとどまらない。「すでに三つあり、この下期はさらに一つ組成する予定」と小川副社長が打ち明ける、倉庫など得意とする物流施設向け私募ファンドを将来的には専業REITとして1本にまとめて上場する構想である。

ここではSPC(特別目的会社)が連結決算の簿外で金融機関などから開発資金を調達する。開示がないため詳細把握は困難だが、同社の過去の物流施設・商業施設の開発規模などを考慮して、この簿外分を加えた実態的な有利子負債残高は先述した4000億円強を大きく超え、7000億円規模に達する可能性がある。

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