簿外を含め負債7000億円?の大和ハウス、REIT戦略で負債圧縮を狙う
その本命が商業建築セグメント、とりわけ商業施設(SCなど)や物流施設(倉庫など)、賃貸住宅等の開発事業だ。住宅や施設の建設を請け負うだけにとどまらず、グループ全体で土地の先行取得から開発・保有・運営まで一気通貫で手掛けるビジネスモデルだ。賃貸・テナント収入、不動産管理手数料収入から出口の資産売却収入まで広く利益を獲得するのが狙いだ。
商業建築セグメントの営業利益は04年3月期の208億円から前09年3月期には3倍増の662億円へと急増。いまや同セグメントは同社全体の7割近い利益を稼ぎ出す。
物件の最終売却先として系列REITに期待
一方、この事業拡大に伴い、固定資産の部の建物・構築物と土地の合計額(賃貸収益を生まない工場・研究所・本社支店などの資産を含む)はこの3年間で約2000億円増え、09年3月末に6716億円になった。これが、同社の財務悪化要因につながったことも否めない。
物流施設開発事業を例に挙げれば資金回収までに平均2~3年はかかる。大型のSC開発事業ではさらに期間は長期化、その間借入金など資金は寝る。もちろん、完成案件が順調に売却できれば、借入金増加を抑制しつつ事業拡大は可能だが、サブプライムショックが顕在化した昨年からは、このシナリオも狂いがち。私募ファンドやREITの不調で資産売却に逆風が吹き始めた。小川副社長は「造ったが売れない物件も出ている」と認める。