北京初の新型コロナ患者「公式発表」前に存在か 広東や上海でも、1月20日に一斉通知の疑惑

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前出の北京市衛生健康委員会の関係者が言うには、患者が地壇医院へ移ったのは1月11日から13日の間で、国家衛生健康委員会の再検査による感染の確定が行われたのは1月19日の深夜である。地壇医院の公式ウィーチャットでは、ICU(集中治療室)で1月12日に新型肺炎患者の治療を始めた後、1月20日には感染二科でも受け入れを始め、比較的軽症の患者の治療に当たったとしている。

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同関係者は診察の過程を次のように振り返る。「患者が大興医療機関に訪れ診察を行ったとき、発熱などの症状が出ており、かつ武漢とのつながりもあった。当時、区の医療機関がすぐに市の衛生健康委員会に報告を行い、委員会は診察をするために専門家を派遣した。診察を行ったが感染の有無がはっきりとしなかったため、専門家は指定医院で隔離治療を受けることを勧め、患者は地壇医院に移った」

地壇医院に関わりのある情報筋は、「大興の患者は武漢で結婚式に参加した後に感染したもので、(感染源とみられている武漢の)海鮮市場へ行ったことはない」と話す。北京衛生主管部門はこの患者を感染の「強い疑いがある」として地壇医院へ送ることを決定し、隔離治療と報告を行った。

広東省や上海市も1月20日に公表

『伝染病防治法』第38条は感染症の情報公開に関する制度を次のように規定している。「感染症のアウトブレイク、流行が起こった場合、国家衛生健康委員会は社会に対し感染情報を公表する責任があり、さらに省級の衛生健康委員会に対しその行政区域の感染情報を公表する裁量を与えることができる」と。

北京市衛生健康委員会は、北京市が区の衛生健康委員会を通じて行った発表は「非常に厳格」で、所属地管理の原則を十分に考慮して行ったとしている。

財新記者は情報を整理している際、北京の病例のほかに、広東省と上海市の最初の感染者の診察時間はそれぞれ1月4日と1月15日となっているが、最終的に公開された通知では第一感染者が発見されたのはすべて1月20日とされているのを発見した。

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