観光気分では絶対に無理!「南インド」鉄道の旅 庶民の暮らしを運ぶ、鉄道のよさを再発見

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

運賃はチェンナイ―デリー間約2200kmでもエアコン付き寝台車が日本円換算3000~4000円程度、エアコンなしの普通車なら1200円程度である。所要時間は30時間以上、LCCが発達しているので空を飛べば1~2時間、運賃も1万円弱程度なので「どう考えても飛行機が楽」である。しかし、貧富の差が激しいインドでは、庶民にとっては1200円と1万円の違いではなく、同じ10倍でも、1万2000円と10万円の感覚となり、運賃の安い2等車に殺到するのだ。

インドではエアコンの有無が運賃に大きく影響し、座席車でもエアコン付きは全車指定席で運賃は高め、寝台車でもエアコンなしはかなり安い。大きな駅にはエアコン付き待合室があるが有料である。

私はチェンナイ―ベンガルール間361kmを「ダブルデッカー・エクスプレス」に乗った。インドでは数少ない2階建て車両で、全車エアコン付き座席指定車両である。所要時間5時間45分、運賃560ルピー(約900円)であった。外国人窓口で購入したせいか、希望はしていないが2階席の窓側であった。

前述通り、一般列車の2等車はとても外国人観光客が利用できる状況ではないが、富裕層が乗るような列車を利用すれば、インドの鉄道旅も快適である。「貧富の差を理解すること」それがインド旅の基本である。それとともに、どう考えてもあまり儲かってなさそうにもかかわらず、日夜庶民の移動に欠かせない存在となっているインド国鉄にエールを送りたいとも感じたのである。

「インドの素顔」を知るのに最適

チェンナイにはインド国鉄の近郊列車もある。都市の生活路線である。最大12両編成の電車が5~10分間隔くらいでやってくる。私のような年齢の人間は「国電」と呼びたくなるような電車である。4ドアの通勤車両がドア全開のまま運行し、人があふれているのだから危なくてしょうがないが、外国人が乗ると奥へ入れてくれる。広軌なので車体幅が広く、扇風機は2列あるが、およそ半数が壊れていて動かない。

次ページ初乗り運賃はわずか8円
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事