沸騰するビジネスドラマ、解答なき時代の羅針盤? 

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 有料放送であるWOWOWは、地上波と差別化したドラマを作ることが至上命題。目の肥えた視聴者には、「サスペンスや社会派ドラマといった作品の受けがよい」と井上氏は言う。「ただし、人間をしっかり描かないと、よいドラマは生まれない」。

人間ドラマを主軸に据えれば、必ずしも現代劇である必要はない。「不毛地帯」『沈まぬ太陽』の時代設定は、どちらも昭和だ。TBSが今夏に放送した「官僚たちの夏」も高度成長期をリアルに描いて話題を集めた。制作統括の貴島誠一郎ドラマ制作センター長は“昭和時代劇”と表現する。

「昭和はすでに“歴史”になった。現代のように閉塞した時代だからこそ、日本がいちばんよかった時代に日本人は何をやってきたのかを描き、視聴者に元気を出してもらうドラマを作りたかった」

貴島氏といえば、「ずっとあなたが好きだった」「愛していると言ってくれ」「スウィートホーム」といったトレンディドラマの旗手。今回は官僚を主役に据えたトレンディらしからぬドラマだったが、「官僚でも頑張っている人間はいる。マスメディアの悪い癖だが、官僚批判一色に染まるのは危険」と動機を語る。

フジテレビの「不毛地帯」は、商社ビジネスのダイナミズムよりも、人間ドラマとしての側面を前面に打ち出したという。「戦後はゼロからスタートして、頑張っただけ報われるエネルギッシュな時代だった。その時代のエネルギーを伝えることができれば、今の窮屈な時代を生きる人にガツンと響くものがあるはず」(長部聡介プロデューサー)。

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