メルカリ・ドコモ連合に課された「2つの試練」 決済、ポイントで「下克上」を実現できるか

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dポイントはドコモが顧客基盤拡大のために最重要と位置付ける施策だ。現在会員数は7300万超、発行し実際に使われているポイントは年間2000億円分に上る。小売店、飲食店などオフラインに比べ開拓が遅れていたオンラインの提携先に関しても、1月30日に発表したリクルートとの提携で拡充。「じゃらん」「ホットペッパービューティー」「ホットペッパーグルメ」などウェブサイトの利用を通じポイントを貯められるようにした。

メルカリの山田社長は会見で、ドコモとのデータ連係を通じ新たなフィンテックサービスの開発を検討していくことなども語った(撮影:鈴木紳平)

今回のメルカリとの提携も、そうした戦略の一環だ。dポイントが貯まる・使える場所を増やすことができれば、利用者に購入や来店を促す販促ツールとして価値を高められるだけでなく、マーケティングに生かせる顧客データの蓄積にもつながる。

メルカリの山田進太郎社長は会見で、「プライバシーへの配慮は大前提だが」と前置きしつつ、「ドコモの一次流通(d払いを使った小売店などでの買い物)データにメルカリの二次流通(フリマでの中古品の買い物)データを掛け合わせられれば、新しい価値を生める」と自信を見せた。

莫大な費用がかかるポイントサービス

ただし、やはりこの領域でも敵は手ごわい。共通ポイントサービスで存在感が大きいのは、楽天の「楽天スーパーポイント」と、CCCマーケティング、Zホールディングス(旧ヤフー)、ソフトバンクなどが運営会社の株式を持つ「Tポイント」だ。

dポイントもd払いの還元強化で勢力を増してはいるものの、2強に比べ、まだまだドコモの携帯電話ユーザーに利用が偏っているのが現状だ。数種類のポイントを並行して貯めるユーザーもいるが、データ獲得競争においては他サービスに劣らない規模と多様性を築くことが重要になる。

そもそも、ポイントサービスを維持・発展させるには莫大な費用がかかる。楽天は2019年、年間で約3200億円分のポイントを発行しているが、これは前年から3割近く増加している。「楽天市場」などの流通額の成長に比例している部分もあるが、楽天内の複数サービスを併用することで付与ポイント倍率が上がる「スーパーポイントアッププログラム(SPU)」などによるところもある。2017年10月に最大8倍だったSPUの倍率は、足元では最大16倍まで拡大している。

スマホ決済においても、各社のサービスが出そろった2018年末からポイントの大盤振る舞いが常態化している。利用者を”ポイント漬け”にしてしまうと、結局はサービス提供者側の首を絞めることにもなりかねない。巨額を投じるだけの販促効果や新たなデータビジネスを生み出せるか。メルカリ・ドコモ連合が進む道は決して平坦ではない。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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