美人局で脅迫されたら警察は動いてくれるのか 会社や家族に知られたらと恐れる必要はない

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男女関係以外にも、「営業マンの態度が気にくわない」「購入した商品が不良品だ」といった難癖、「あなたがアダルトサイトを見ているのをつかんでいる」といった無体な言いがかりなど、犯人グループからの最初のアプローチは多種多様。企業間取引において、一方の企業が犯人グループを使い、相手先企業を倒産に追い込んだケースまで出てきている。

法的根拠と証拠があれば警察は動く

そういった犯人グループは、いわゆる半グレの集団である。半グレとは、暴力団に所属しない、新興の組織的犯罪集団。多くは暴走族のOBで、仲間意識で集団化してきた20代から40代が中心だ。一般人と暴力団員の中間的な存在と捉えられてきた。多数の犯罪を起こしているにもかかわらず、「実態が分かりにくい」という理由で、野放し状態になっているのが実情。

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しかし、最近では暴力行為が凶悪化し、警察庁では準暴力集団と位置付けているとも聞く。法的根拠があり、さらに証拠を示せば、警察は確実に捜査してくれるはずだ。

半グレは、密かに勢力を拡大しているため、誰もがいつ半グレの被害に巻き込まれるかわからない。とくに、SNSに個人情報を書き込みすぎるのは危ない。「どこに行った」「何を食べた」などと無防備に書き込むのは、半グレ等の犯罪集団に「私を狙ってください」と伝えているようなもの。ましてや、軽く知り合って素性の知れない相手に、自分の大事な情報を伝えるのは言語道断といえよう。

冒頭で紹介したTさんは私のところに飛び込んできた翌日、警察の刑事課へ行った。恐喝未遂事件として、被害届が受理され、後日、「おかげさまで、すべて事なきを得ました」と晴れ晴れした表情で報告に来た。私はTさんに、「それはよかった」と言うと同時に、「そもそもTさんが無責任な行動をしたことがいけない。今後くれぐれも襟を正して暮らしてくださいよ」とこんこんと説教した。

(構成:井上 理津子/フリーライター)

佐々木 保博 危機管理コンサルタント/セーフティ・プロ代表

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ささき やすひろ / Yasuhiro sasaki

1980年から埼玉県警察官として28年間勤務したのち、円満退職。その後、国会議員の公設第一秘書を経て、日本の慢性的な危機管理意識の欠如を痛感。警察では立ち入れないところの「正義」を実現するため「民間警察」として困った人のあらゆる悩みに解決策を提供する、株式会社セーフティ・プロを設立し、代表取締役に就任。警察OBの経験を生かしつつ、日々多様化するストーカー被害、反社会勢力などによる暴力、家族の失踪など日常のあらゆるトラブルに対し、警察や弁護士と違った角度から、常に相談者の気持ちを考えて適切な対応をアドバイスしている。

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