「定期昇給」がリストラ候補を生み出す根本原因 入社7~8年目がターニングポイントになる
給与とは、社員が会社に提供した「価値」の対価です。月給20万円の人は月給20万円に見合った「価値=働き」を、月給30万円の人は月給30万円に見合った「価値=働き」を求められます。
例えば、入社1年目と2年目の社員では、入社2年目の社員のほうがより多くの「価値=働き」を会社に提供できるでしょう。2年目と3年目でも、同様のはずです。だから給料が上がるのです。
しかし7年目と8年目に、明確な違いがあるでしょうか?
課長や主任といった管理職に昇進するなどして、マネジメントが主な業務となり、20代の頃とは明らかに違う「価値」を提供できているのならともかく、そうでない場合、どんどん高くなる給与と実際の業務が釣り合わなくなってきます。
モノの値段は、価値が上がらないと、上がりませんよね。会社員も同じです。20万円の価値しか出していないのに、給料が30万円だったら、ヤバいのです。
その先に何があるかというと、リストラです。
定期昇給の先には、リストラが待っている
年功序列型の「定期昇給」が日本に広く定着したのは、1950年代から1970年代にかけての高度成長期のことでした。当時の日本人ビジネスマンの平均年齢は20代でしたが、2020年の現在、その平均年齢は40代後半、ほぼ50代です。
「若い頃は給料が安くても、毎年上がって、年を取ったらたくさんもらえますからね」
こうした給与制度は、日本人がみな若く、経済が右肩上がりに成長している時代だからこそ可能でした。たとえ給与と価値が見合わない社員がいても、多くの会社には、そういう社員でも雇用し続けていくだけの余裕がありました。
今は、それから50年以上が過ぎています。超高齢化社会に突入し、経済も停滞している現在の日本では、こうした給与制度を維持するのは極めて困難です。
利益も売上も伸びていない会社が、高齢化していく社員の給与を一律に引き上げていったらどうなるでしょうか。当然、その会社は破綻します。
となると、給与と価値にギャップのある社員に対しては、給料を下げるか、辞めてもらうしか選択肢がありません。
こうした場合、社員の「成果」と「行動」に対して給与を払う会社なら、提供された価値に見合った給与にすることが可能ですが、「勤続年数」や「年齢」に対して給与を払う「定期昇給」を採用している会社では、こうした対処ができません。
残る選択肢はひとつ、リストラです。これが定期昇給の怖さなのです。