華南海鮮市場は武漢市江漢区の繁華街にあり、(高速鉄道や地下鉄のターミナルである)漢口駅と1キロ足らずしか離れていない。「海鮮」という名前がついてはいるが、野生動物の生肉などさまざまな食材が販売されており、当初から一貫して新型コロナウイルスの感染源とみられていた。
中国疾病予防管理センターは1月26日、華南海鮮市場で採取された585のサンプルのうち、33のサンプルから新型コロナウイルスの遺伝子を検出するとともに、陽性サンプルからウイルスの分離に成功したと発表。ヒトへの感染源は華南海鮮市場で売られていた野生動物であるとの見解を示した。
同センターの報告によれば、これらの陽性サンプルは市場内の22の販売ブースと1台のゴミ収集車から採取された。このことに関して、流行性疾患の専門家である香港中文大学の唐金陵教授は次のようにコメントした。
「華南海鮮市場には複数の感染源があり、ある程度分散していたのではないか。短期間のうちに数十人が同時に発症し、なおかつ患者間に相互接触がないケースがあったことは、新型コロナウイルスに感染した野生動物は偶然1カ所の販売ブースに持ち込まれたのではなく、同時期に多数の販売ブースに搬入された可能性を示唆している」
感染源となった野生動物の間でかなり広がっている?
この推測に基づいて唐教授は、新型ウイルスはヒトへの感染源になった野生動物の間で既にかなり広がっており、その動物が華南海鮮市場以外の市場にも持ち込まれたり、同じ市場に繰り返し持ち込まれたりしたことによって、ヒトへの伝染を増加させた可能性があると見ている。
「最初の感染現場は1つの“点”ではなく、もっと広い“地区”であり、そのなかでヒトからヒトへの感染も起きていたのかもしれない。だが流行封じ込めの初期段階では、そのような最悪の事態を想定していなかった」
初期の感染者の一部が華南海鮮市場に出入りしておらず、別の感染者との密接な接触もなかったことを考慮すれば、武漢市内のその他の市場でも新型ウイルスの検出の有無を調査すべきだろう。それによって汚染地区の広さを明らかにし、野生動物からヒトへの感染が再び起きるリスクを徹底的に遮断しなければならない。
ただし唐教授は、彼の推測は現時点の限られたデータに基づくものであり、正確かどうかはさらなる調査検証が必要だと強調した。
(財新記者:馬丹萌、高昱)
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