快進撃「SixTONES vs Snow Man」への違和感 デビュー曲が初週ミリオン突破の快挙も

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世間の人々から批判があがっているのはマネジメント側だけではありません。SixTONESとSnow Manのデビューを報じるメディアにも厳しい声が浴びせられています。

どのメディアも、2グループ合算やハイタッチ券についてはふれず、スポーツ新聞やネットメディアは「偉業達成」「超ド派手同時デビュー」「史上最速ミリオン確実」などの称賛のみを書き、中にはまだスタートしたばかりであるにもかかわらず「今年度最高の売り上げ」という記事すらありました。

また、テレビでは情報番組をジャック。例えば、日本テレビだけを見ても、『ZIP!』『スッキリ』『バゲット』『ヒルナンデス!』などに何度も出演していましたし、ゴールデンタイムのバラエティーも「出ていないほうが少ないのでは?」というコメントがあがるほど多くの番組に出演しています。

一般視聴者には唐突感がある

中でもよく見られるのは、「キャラを押し出した自己紹介」「これまでの苦労話」「一発芸やモノマネ」「デビューシングル披露」というフルコースの出演。一般の視聴者にしてみれば、いつもの番組に知らないタレントが混じっている唐突感があるだけに、「ジャニーズ事務所への接待なのか」「それにしても忖度しすぎ」、ひいては「視聴者をバカにしている」と考えてしまう人がいても不思議ではありません。

ジャニーズ事務所を出た元SMAPの3人がいまだ限定的な番組出演にとどまっている中、この大量出演を見た人はあらためてテレビ業界の悪しき商慣習を感じてしまうのではないでしょうか。皮肉にも世間の人々は、SixTONESとSnow Manのメンバーがテレビ番組に出るほど、ジャニーズ事務所の強引なマネジメントと、それを最大限に受け止めるテレビ局の忖度を感じてしまうのです。

これを読んだ両グループのファンは、「せっかくデビューできたのに、なんて記事を書いてくれたんだ」という怒りもあれば、「彼らの将来を考えるとマネジメントのまずさはハッキリ指摘してもらったほうがいい」という理解もあるでしょう。デビューは本人もファンも喜ばしいことですし、SixTONESもSnow Manもみずみずしい姿を見せてくれています。

書いた私自身も、若い彼らの活躍や成長を見守りたいと思っていますし、だからこそマネジメント側やメディアが世間の人々を甘く見るような手法で、その可能性を狭めてはいけないのではないかと感じたのです。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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