日銀の企業金融支援措置の撤廃、必要性が失せれば緊急的措置は停止が妥当

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 金融機関による日銀へのCP、社債の売却希望額も激減し、日銀がCP買い入れオペをオファーしても、金融機関の売却はなく、最近では買い入れ実績ゼロとなっていた。社債も同様の状況である。これは同措置の必要性が極めて乏しくなったことを意味している。それどころかCPの場合、金利が著しく低下した結果、非銀行部門(最終投資家)によるCP保有額が大幅に減少するという事態まで招いている。

金利水準に魅力がなく、CP購入・運用のインセンティブが働きにくくなったためで、CP市場の厚みという観点からは、副作用が発生したことになる。

ところが、どういうわけか、日銀の考え方に異論を投ずる向きもあった。中小企業向け融資のモラトリアムを提言し、名を馳せた亀井静香金融担当兼郵政担当相がその代表格である。

同相は10月30日もCP、社債買い入れ停止をめぐって、日銀に「実体経済をよく見て判断をしてほしい」と注文をつけた。わかりやすく訳すと、「停止の判断は慎重に」ということだろう。

同相に限らず、日銀による一連の緊急措置の見直し、つまり、同措置の停止には、「世界的な金融危機を脱したわけではなく、政策の『出口』のドアを開けるのは時期尚早」という主張がある。確かに世界的な金融危機は終わっていない。

むしろ実体経済の悪化は深刻化しているといえる。政策の出口を検討するようなタイミングではない。

日銀は、現在の金融政策姿勢をいたずらに変更すべきではない。しかし、これはベースの金融政策についてのことである。リーマンショックで発生した、一時的な信用収縮への対策についてではない。

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