日銀の企業金融支援措置の撤廃、必要性が失せれば緊急的措置は停止が妥当
構造的にとらえると、世界的な金融・経済危機は実体経済の下部構造として継続している。そして、その上で生じていたのが08年秋から今年夏過ぎまでの信用収縮=企業金融の大混乱劇ということになる。もちろん、上部の現象が簡単に発生したのは、下部の構造があったからだが、だからといって、この2層構造を無限定に混同して議論していいわけではない。きちんと峻別して、政策と政策効果を見ていくことが大切である。
CP、社債の買い入れ停止を決定した一方で、今回日銀は、企業金融支援特別オペによる短期金融市場への資金供給や、企業債務の担保要件の緩和措置の取りやめを見送った。企業金融支援特別オペは10年3月末まで、担保要件の緩和措置は同年12月末まで延長する方針だ。
一連の措置からの撤退を段階的に行うことで、金融市場などへのインパクトを和らげる狙いがあると思われる。
過剰依存は緩みにも
これに反論するつもりはない。批判することでもないだろう。しかし、付随して指摘したい点はある。
まず、今回延長された措置もまた異常事態に向けた例外的な対策であるということだ。特別オペは、通常日銀が実施している市場オペレーションを超える非常時のバッファ措置であり、事態が改善すれば、そのような非常措置を利用せずとも自身の資金調節を果たせるのが、金融機関の本来の姿である。
しかし、今のところ特別オペの利用が継続しているのはなぜか。金融機関には非常事態が継続しているのだろうか。だとすれば看過できないことになるが、どうもそのようなことはなさそうである。それにもかかわらず利用が続き、制度の継続を求める声が市場参加者の中から聞こえてくる。