ビジネスモデルとコース料理の意外な共通点

熱心なビジネスパーソンが陥る「わな」の正体

ビジネスモデルもコース料理と同じように、全体を通して調和した味わいが求められます(写真:stockstudioX/iStock)
日本の経営学では、ビジネスモデル研究が盛んだ。コンサルタントや経営者から研究者まで、いろんな立場の筆者が、思考法、多様なツール、パターン集などをまとめ、書店では多くの本にあふれている。
このたび、日本のビジネスモデル研究の第一人者でもあり、早稲田大学で起業家育成プログラムを担当する井上達彦氏が、学術研究や海外のイノベーションプログラム、実務の最前線で使われている方法などを集約し、ビジネスモデルの発想法から事業の循環までを描いた『ゼロからつくるビジネスモデル』を上梓した。
同書は500ページを超える大作ではあるが、今回は、同書のエッセンスである、ビジネスモデルをつくる順番とつくりかたのポイントを語ってもらった。

あなたは一流のレストランに行ったとします。そこで出されたコース料理が下記のようなものだったら、あなたはどう感じますか?

・前菜:白身魚のカルパッチョ
・スープ:豚汁
・魚料理:焼き魚のエビチリソース
・肉料理:サーロインステーキの酢豚添え
・デザート:わらび餅とエスプレッソ

一皿一皿の料理はすばらしかったとしても、コースならではの調和した味わいは期待できません。異なる文化・流儀の料理がごちゃ混ぜになって、てんこ盛りになっているからです。

「自分がシェフであれば、絶対にこんなことはしないなぁ」

誰もがそう感じるはずです。ところが、ビジネスモデルづくりにおいては、実はこのような「ごちゃ混ぜてんこ盛り現象」が頻繁に起こっているのです。

てんこ盛りの分析と発想

ビジネスモデルをつくるための分析手法やフレームワークはたくさんありますが、それぞれの文化的な背景は異なるので、使うときの流儀も違います。

『ゼロからつくるビジネスモデル』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

データを大切にするもの、言葉を大切にするもの、矢印で示せる関係を大切にするもの、というようにさまざまです。

勉強熱心なビジネスパーソンほど、さまざまなセミナーに参加し、いろいろ試していることでしょう。

しかし、わずか数時間のセミナーで、分析手法やフレームワークが考案された文化的な背景や、その価値観にまで踏み込むことは不可能です。だから、断片的な理解にとどまり、印象に残った分析手法やフレームワークをてんこ盛りにしてしまうのです。

次ページビジネスモデルをつくる順番
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 子どもを本当に幸せにする「親の力」
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 角田陽一郎のMovingStudies
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
トレンドライブラリーAD
人気の動画
東芝、会社「3分割」に残る懸念
東芝、会社「3分割」に残る懸念
ウエルシアがイオンと挑む「ドラッグストア飽和」打破の勝算
ウエルシアがイオンと挑む「ドラッグストア飽和」打破の勝算
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
百貨店の最終兵器「外商ビジネス」が抱える難題
節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点
節約志向で「安い食品ばかり買う」人の重大盲点
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「非財務」で生きる会社、死ぬ<br>会社 企業価値の新常識

今や株価を決める最大の要因は「非財務情報」というのが世界の常識に。優れた開示を行えば企業価値の向上につながる一方で、開示が不十分だと株を売られるリスクも。企業価値の新常識をめぐる混乱とその対処法に迫りました。

東洋経済education×ICT