茨城ではスタバもかなわない名店の圧倒的魅力 高級豆×独自の仕掛けで大手と違う土俵に立つ

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番組で「茨城のコーヒー王」と紹介された誉志男氏は、1970年代からコーヒー生産地に足を運び、良質の豆を買い付けてきた。食品のキーワード「トレーサビリティー(誰がつくっているか)」も早くから実践し、海外の農園主も茨城に呼んで交流を続ける。一方の太郎氏は、コロンビアの自社農園勤務を経て都内の店を軌道に乗せ、一風変わった仕掛けも行う。

2019年6月15日、サザKITTE店で、『「パナマ・ゲイシャ ヌーヴォー」まつり』と呼ぶ試飲イベントが開催された。太郎氏が自ら産地で買い付けた高級豆を販売。来店客にも振る舞った。

このイベントでは、先着7枚限定の「ゴールデンチケット」を用意した。さまざまなコーヒーオークションで優勝した希少豆が複数飲めるチケットで価格は1万5000円。高額に思えるが、提供する豆の価値からすれば格安で、チケットは開店して間もなく完売した。

もともと太郎氏は、早くからゲイシャの魅力にとりつかれ、十数年、このコーヒー豆を購入してきた。価格が高騰しても落札を続けるのは、おいしさに加えて世界最高峰の農園技術を学ぶ思いもある。古参の国際審査員としても活動し、コーヒー豆の国際品評会「ベスト・オブ・パナマ」では、「最も有名な審査員」(業界関係者)と言われる存在だと聞く。

「現在もゲイシャに特化したイベントを開催しますが、ここに来ると本物のゲイシャが買えるという日本人客や外国人客も多数来店され、手応えを感じています」(太郎氏)

また、本記事発信後の2月3日(節分)には「サザコーヒー筑波大学アリアンサ店」(つくば市)で「コーヒー豆まき」を予定している。

「節分にまく豆を調べると、地域によって大豆と落花生に分かれるが、とくに決まってもいない。それなら使えないコーヒー豆をまき、終了後は堆肥にしたいと考えました」(同)

「コーヒーへの情熱と蘊蓄(うんちく)はすごい」(女性編集者)という同氏の行動は、柔軟で時に奔放だ。コーヒー豆まきは、スターバックスの関係者も興味を持っていた。

テナント不振だった「大洗」で気を吐く

茨城県大洗町に「大洗シーサイドステーション」という商業施設がある。旧施設名は「大洗アウトレットモール」だったが、テナントの退店が相次ぎ、一時は存続も危ぶまれた。

施設内には「サザコーヒー大洗店」もある。東日本大震災後の津波で被災した同施設関係者に懇願されて出店後、人気店となったが、上記の理由で売り上げも下降していた。

鹿島臨海鉄道大洗鹿島線・大洗駅前「ガルパン」の看板(2018年10月。筆者撮影)

その苦境を脱した追い風が、当地が舞台の人気アニメ「ガールズ&パンツァー」(ガルパン)だ。戦車同士の模擬戦「戦車道」の全国大会で優勝を目指す女子高校生の物語でコアなファンも多い。かつて大洗はアンコウで知られたが、今やガルパンのほうが有名になった。

太郎氏は、登場人物の1人「マリー様」がモンブランケーキを食べるシーンにヒントを得て、独自に製作した笠間栗のモンブランケーキで訴求。ツイッターでも情報発信を続けたところ人気が沸騰。これを食べるために、開店前から4時間待つ人もいたという。

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