そこまでやるか!京急ミュージアムのこだわり 40年前に引退した車両をピカピカに修復

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ミュージアムがオープンした「1月21日」は、京急の起源となった大師電気鉄道が開業したのが1899年1月21日で、そこから121周年であることにちなんだ。

デハ230形の修復作業の様子を紹介する映像も(記者撮影)

大師電気鉄道がその後、京浜電気鉄道と名前を変え、1931年に湘南電気鉄道とつながったのが横浜の地だ。当時活躍したデハ230形を修復することは、昨年横浜に本社を移転した京急にとって象徴的な意味があった。同社の原田一之社長は「外から見える赤い電車でここが京急の本社だということを横浜市民に一目でわかってもらいたい」とデハ230形の新たな役割に期待を込める。

みなとみらい地区は、かつて広大な空き地が目立っていたが、この数年でいくつもの大手企業が拠点を構えるようになった。その中にはミュージアムを併設した施設もある。原田社長は「周辺のミュージアムと合わせて巡ってほしい。保育所の園児のお散歩コースとしても立ち寄ってもらえれば」と話す。

京急グループ本社の周辺には日産グローバル本社ギャラリーや、資生堂が運営する「S/PARK(エスパーク)ミュージアム」、原鉄道模型博物館、横浜アンパンマンこどもミュージアムがある。少し距離はあるが、三菱みなとみらい技術館、カップヌードルミュージアムといった企業系のほか、横浜美術館、帆船日本丸・横浜みなと博物館も徒歩圏内。みなとみらい地区はいまやミュージアムの一大集積地となっている。

オープン当初は入館制限も

京急ミュージアムはオープン当初、混雑を見越して入館制限を実施する。2月24日分までの事前募集はすでに終了しているが、応募状況はかなり好調だったようだ。

「鉄道シミュレーション」は本物の電車を運転しているような体験ができる(記者撮影)

実際のところ館内は、見学して回るだけならばすぐに時間を持て余してしまいそうなほどコンパクトな印象だ。だが、同ミュージアムは「『本物』を見て、触れて、楽しむ」がコンセプト。展示の一つひとつに込められた、京急ならではの本物へのこだわりを知ることができれば、時間が経つのを忘れてしまうかもしれない。

京急ミュージアムのオープニングセレモニー(記者撮影)

とはいえ、全国各地にある企業ミュージアムの中には、展示内容に変化がなく、訪問者がまばらになってしまった例もあるだろう。飯島さんも「作りっぱなしではダメで、何か変えていく工夫が必要だということはひしひしと感じる」と話す。今後はほかのミュージアムとの連携や企画展の開催などを検討していく考えだ。

原田社長は1月21日のオープニングセレモニーでのあいさつで「さまざまな展示や体験で多くの人たちに楽しんでもらえる施設を目指している。お子さまの大きな笑い声がみなとみらい地区に響き渡るようなミュージアムにしたい」と強調した。

かつてボロボロだったデハ230形はOBをはじめとする多くの関係者の知見を生かして新車同様の姿によみがえった。車両の修復で得たノウハウをさらに次の世代に引き継いでいくためにも、将来を担う子どもたちが何度も訪れたくなるようなミュージアムに育てていくことが肝要だ。

橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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