そこまでやるか!京急ミュージアムのこだわり 40年前に引退した車両をピカピカに修復

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デハ230形は、1929(昭和4)年に京急電鉄の前身の1つ、湘南電気鉄道の「デ1形」として製造され、翌年に営業運転を開始した。軽量で丈夫な車体や大きな窓などが特徴で、当時の最先端の技術を採用。品川―横浜―浦賀を直通する、現在の京急の高速運転の礎を築いた「関東の名車」だ。郊外を走るだけでなく地下鉄への乗り入れまでも想定していたという。

このうち「デ6号」として生まれた236号は48年間にわたって活躍し、1978年の引退後は埼玉県川口市の青木町公園で屋外展示されていた。長く地元住民に親しまれていたが、展示場所には雨風をしのぐ屋根もなく、塗装がはがれるなどの老朽化が深刻になっていた。

埼玉から横浜へ里帰り

そこで2016年に川口市が譲渡先を公募、京急が引き取ることに決まり、翌年5月に陸路で輸送されて横浜へ38年ぶりに里帰りした。車体は横浜市の総合車両製作所、台車やパンタグラフは横須賀市の京急ファインテック久里浜事業所で修復作業が進められた。

外観はかなり傷んでいたが、修復前の車体を確認した同社OBは「たしかにちょっとショックだった。でも乗務員室とか床下はきれいで、全部部品もそろっていた」「部品は状態がよかった。あんなにきれいに残っているとは思わなかった」との感想を抱いたという。

次ページ修復に京急OBの知見
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