相手は遠いところではなくあなたのすぐ隣にいます。あなたのパソコンやスマホの画面のすぐ隣です。物理的な距離では遠くても、ネット的な距離ではすぐ隣です。ネット的にすぐ隣ということは心理的にもすぐ隣と考えるべきです。
私たちは物理的に遠い距離にいる家族や友達とネット上でやり取りして、「ネットは距離を超えた」と喜びます。地球の反対側にいる孫とスカイプでやり取りして涙ぐむおばあちゃんもいます。単身赴任してアフリカで働いているパパと、スマホの画面を通して毎日会話している子どももいます。このように物理的な距離では遠くても、ネット的な距離と心理的な距離ではすぐ隣なのです。
ネットであなたがバカなどの言葉を使っても誰も注意してくれません。そもそも気がつかないということもありますが、もし気がついていても注意してくれないことが多いでしょう。もし気づいた場合、その人は内心で「この人、こういう言い方をやめればいいのに。こういうところを直せば、もっとリスペクトできるのに」と思うのではないでしょうか? でも、あなたに気を遣って言わないだけです。
ネット上では相手にバカと言ってしまう人も、実際のリアルな場で面と向かっては言わないはずです。面と向かっては言えないのにネットでは言えてしまうというのは、ネットの匿名性に頼っているからです。自分は安全地点にいるから傷つかずに済むと油断しているのです。これほど卑怯なことはありません。卑怯なことを続けていると自分の人格が歪みます。それもまた自分を不幸にすることです。
マナーを守って、ネット空間をよりよいものに
なぜ、私がこういったことを言うかというと、これからの時代を生きる子どもたちのために、ネット空間をよりよいものにしたいと願うからです。ネット空間は人類に与えられた新たなフロンティアです。わずか4半世紀前には存在しませんでした。この25年ほどの間に、突如新しい世界が人類に与えられたのです。それは無限の可能性を秘めていて、とてつもなく魅力的な空間です。
突然のことなので、人類はこれをどう扱っていいかわかりませんでした。それで試行錯誤が始まりました。匿名で何でも表現できることがわかったので、人々の本音が丸出しになってしまいました。今まで言いたくても言えなかったものが一挙に吹き出しました。
子どもが新しいおもちゃを与えられたときも、大人が新しいデバイスを手に入れたときも、初めは使い方がわかりません。でも、だんだん慣れてくるとうまく使えるようになります。人類がネットを手に入れたときも、これと同じことが起こりました。でも、もう25年も経ったので、そろそろ次の段階に進んでもよい頃です。
それを、まず自分から始めましょう。マナーを守ってネットを使うことからです。そして、自分からよい波紋が広がるようにできれば最高です。これからの時代を生きる子どもたちのために、ネット空間をよりよいものにしていきましょう。
親はみんなかわいいわが子を幸せにしたいと願っています。でも、自分の子どもだけ幸せにすることはできません。今の大人世代がみんなで協力して、リアルな世界もネットの世界もよりよいものにしていく努力が大事だと思います。
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