ゴーンがひた隠しにしてきた「父親とその過去」 レバノン日刊紙を賑わせた父ジョージ

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同紙によると、撃ったのはおそらくジョージで、理由はおそらく金銭トラブルである。動機としては、マサドはガーナで手に入れベルギーで売り抜けたダイヤモンド1.5キロの売却収益25万レバノンポンドをジョージに支払う必要があった。神父が経済事案に関与するのはショッキングな話ではない。レバノンでは長い間、神父は在外コミュニティーと故国にとどまる人たちとの間の銀行サービスを提供していた。

事件の3日後にジョージは逮捕された。事件は何度かロリアンの一面で取り上げられた。「ジョージ・ゴーンは殺人事件への関与を否定」と、日刊紙の大見出しに記されている。後に警察は、マサド神父を最初に撃った容疑で第2の男を逮捕した。だが、その男は、ジョージが「2発目を撃って、殺害した」と主張した。

7月14日に、捜査判事は被告2人に死刑を求めた。1カ月後、同紙はバーブダ刑務所でのジョージの辛苦について報じている。伝えられるところでは、ジョージは到着するやいなや看守に賄賂を渡した。「彼らをかわいそうに思ったから。彼らは私のところにやってきて嘆き、悲しんだ。彼らを救うことができると思ったからそうした」と、裁判官に説明している。

脱獄に失敗したジョージ

ジョージは刑務所の主となり、半ば自由に過ごした。前述からわかるように、この刑務所は“ざる”だったので、囚人と看守は近所の賭博場によく遊びに出かけた、とロリアンは報じている。

実際には、ジョージは資力を生かして、脱獄の準備を整えた。脱獄は8月4日の明け方に実行された。共犯者らはブリキ屋から盗んだのこぎりで10日かけて窓格子の桟を2本取り外して通路をこしらえ、(ジョージの殺人の共犯者を含む)囚人11人が脱走した。だが、脱獄者たちはジョージを……置き去りにした。

看守が発見したとき、ジョージは「マットレスの上にじっと座って、何本もタバコを吸っていた」とロリアンは報じている。ジョージは、「私は眠っていた。警察官の叫び声がして、それで目が覚めた」と説明した。

ロリアンは別の見方も示していた。脱獄者がこしらえた通路は肥満体のジョージには狭すぎた。本当に脱獄を望んでいなかったのでないとしたら、共犯者の脱獄を準備して、その代わりに自身の殺人罪を免れさせる手紙を書かせるつもりだったのではないか、と同紙は後に推測している。脱獄の数日後に、ジョージは囚人47人を率いて、ハンガーストライキを行った。同刑務所はジョージをベイルートの要塞刑務所に移送した。

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