長すぎる会見で「自己正当化」に終始したゴーン 証拠書類の字は小さすぎて見えなかった

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「私は、いわゆるミッション・インポッシブルには慣れている」と、一生逃亡者として過ごすのかという記者からの質問に対してこう答えた。加えて、「公正な裁判が受けられると思う場所でならば、どこでも喜んで裁判を受ける」と述べた。

法の裁きは逃れていないと主張するゴーン氏(写真:Diego Ibarra Sánchez/The New York Times)

ゴーン氏は、フランス、ブラジル、レバノンの市民権を持つ。フランスに渡ることを考えているかと聞かれた際、同氏はレバノンで満足していると答えた。「ここにいてとても幸せだ。友達もいるし、家族もいる。子どもも会いに来てくれる。電話も使うことができる。インターネットも使用できる」。

フランス当局は最近、ゴーン氏へのスタンスを固め、彼を「ほかと同様の被告人」と呼び、法廷で法の裁きを受けるだろうと述べた。

書類の字が小さすぎて読めない

ゴーン氏は、あたかも企業のプレゼンテーションであるかのように、逐一弁護を断言し、書類をスクリーンに映し出しながら話し始めた。事件の細かな点についてあらましを述べ、特定のメールや検察官への供述について、彼の主張をサポートする書類を提示しながら話した。しかしながら、問題があった。文字が小さすぎて、部屋の中にいる誰にもそれが読めなかったのだ。

ゴーン氏はまた、日産とルノーが自身の不在で、業績不振に陥っていることにも言及した。

「日産の時価総額の減少は、100憶ドル以上に上る。ついでに、ルノーもうまくいっていない。ルノーの時価総額は50憶ドル以上も下がった」とゴーン氏は話した。「日産の株主として、誰が私を守っているのか、と言いたい」。

ゴーン氏は自身の逮捕が日産の幹部たちが企てたものであるという持論を展開し、同社の業績が下降し始めたことが自身の逮捕につながったのではないかと思ったと話した。そして、報酬の過少記載容疑では拘置所に入れられることはなかったはずだと話した。

ゴーン氏はまた、自身に容疑がかけられた背景には、ルノーとの合併を妨害するための日産と日本政府による動きがあったと主張した。

記者からの質問に応じたゴーン氏は、自身が合併ではなく、1つの取締役会を持ちつつ日産とルノーが別々の会社として運営を続けていける持ち株会社の設立を提案していたと話した。

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