安倍首相、「内憂外患でもゴルフ」の本当の狙い イラン攻撃、IR疑惑噴出でも余裕をアピール
安倍首相の「意中の人物」は岸田氏との見方が多く、首相も「大変誠実で、岸田氏といると居心地がいいと感じる人が多い」と評価。別の番組のインタビューでも「岸田さんも次の総裁選に出ると明確におっしゃっている。もうバットをぶんぶん振っている。もうじきその音が聞こえてくる」と岸田氏への期待を強調してみせた。
一連の発言について、自民党内では「首相は今後も1強を維持し、ポスト安倍でも主導権を発揮して退陣後も院政を敷くことを前提に政権運営を続けるつもりだ」(閣僚経験者)との見方が広がる。
子年のジンクスはあるか?
ただ、歴史を振り返ると子年は「時の首相にとって不吉な干支」(政界関係者)でもある。60年前の1960年には首相の祖父の岸信介首相が日米安全保障条約を国会で成立させた際の「安保闘争」の混乱の責任をとって退陣した。その12年後の1972年には長期政権を築いた首相の大叔父の佐藤栄作首相が退陣して、今太閤ともてはやされた田中角栄首相が登場している。
さらに1996年には年明け早々に日本社会党(当時)の村山富市首相が突然退陣を表明。2008年には福田康夫首相が「あなたとは違うんです」という“迷言”を残してわずか1年で退陣した。安倍首相は、今年8月に佐藤氏の連続首相在任記録を抜くが、祖父や大叔父も退陣した「子年のジンクス」は他人事と言えそうもない。
安倍首相は党の仕事始めや都内で開催された複数の新年会に出席した際のあいさつで、「桃栗三年柿八年」のことわざに引っ掛けて「柚子は9年の花盛り。柚子までは責任を持って大きな花を日本に咲かせたい」と述べ、政権9年目となる2021年まで政権を維持する考えをにじませた。
党内の一部でささやかれるいわゆる「五輪花道説」を否定することで「ポスト安倍の動きが顕在化することを防ぐ狙い」(自民幹部)の発言と受け取られている。
安倍首相は同時に、やはり子年だった西暦1600年の関ヶ原の合戦にも言及し、年内解散断行の可能性を示唆した。関ヶ原の合戦は10月21日だったことから出席者からは「やはり五輪後の10月解散・11月投開票を狙っている」(有力財界人)との声も相次いだ。
こうした安倍首相の発言について、政界では「約1年9カ月後の任期満了までの安倍1強維持への自信と不安が交錯しているからでは」(自民長老)との見方が広がる。6日の株式市場は日経平均株価が一時500円以上下落し、8日には中東情勢が緊迫化したことを受け、再び急落した。オリンピック後の景気悪化も予測される中、先行きの不安が拭えないスタートとなっている。
そうした中、安倍首相が「子年のジンクス」を乗り越えて1強を維持できるのかどうかも極めて流動的だ。「今年は、何が起こるかわからない予測不能の政局が続く」(自民幹部)とされるだけに、余裕の表情とは裏腹に、安倍首相が年明け早々から「出たとこ勝負」の緊迫した政権運営を強いられることは間違いなさそうだ。
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