安倍首相、「内憂外患でもゴルフ」の本当の狙い

イラン攻撃、IR疑惑噴出でも余裕をアピール

内外で政治的にきな臭い動きが相次いだのに、安倍晋三首相は年末年始、ゴルフを楽しんだ(写真:時事通信)

令和2年の政治は波乱の幕開けとなった。

年明け早々、アメリカによるイラン革命防衛隊司令官の殺害で中東情勢が緊迫化。2019年末には日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告が保釈中にレバノンへ逃亡し、統合型リゾート施設(IR)事業に絡んだ収賄容疑で秋元司衆院議員(自民党を離党)が逮捕されるなど、内外で政治的にきな臭い動きが同時進行している。

そうした中、安倍晋三首相はこれらの事件に表立った反応をせず、余裕の表情で年末年始の休暇を満喫した。仕事始めの1月6日の伊勢神宮参拝後の年頭記者会見では、「五輪・パラリンピックが開催される歴史的な年を、日本の新時代を切り開く1年とする」と決意表明。7日の新年会などでは2021年9月の任期満了までの1強政権維持に意欲と自信をにじませた。

アメリカ、イラン双方の橋渡し役に

安倍首相は年頭会見の中で、緊迫する中東情勢について「現状を深く憂慮しており、事態のエスカレーションは避けるべきで、すべての関係者に外交努力を尽くすことを求める」と語り、アメリカ、イラン双方と友好関係を維持する日本の立場も踏まえて、「日本ならではの外交を粘り強く展開する」と両国の橋渡し役となる考えをアピールした。

しかし、8日にイラクにある駐留米軍基地に対してイランがミサイル攻撃をし、事態が一段と深刻化したため、11日から予定していた安倍首相のサウジアラビアなど中東3カ国の歴訪は延期の方向となった。

政府が年末に閣議決定した海上自衛隊の中東派遣方針については、菅義偉官房長官が8日午前の記者会見で派遣方針に変更はないと説明した。ただ、トランプ大統領が仕掛けた今回の米イラン対立は「中東全体を巻き込んだ大規模戦闘にもつながりかねない」(中東専門家)だけに、「日本が下手に手を出せばやけどをする」(外務省幹部)との不安は拭えない。

今後、状況が報復合戦の様相となれば、自衛隊艦船が武力衝突に巻き込まれる危険も拡大する。防衛省の元幹部も「戦闘に巻き込まれる可能性が高まれば、自衛隊派遣は再考すべきだ」と指摘しており、派遣自体が政権運営のリスクにもなりかねない。

2019年末から政界捜査が急進展したIR汚職事件も、安倍首相にとって頭痛の種だ。約10年ぶりに国会議員として逮捕された秋元容疑者は、IR参入を目指していた中国企業から、IR担当の内閣府副大臣として数百万円の賄賂を受け取ったとされる。

東京地検はほかの自民党議員・元議員の事務所を捜索する一方、中国企業からの資金提供の対象となった超党派のIR議連メンバーの自民4人と日本維新の会1人の5議員からも事情聴取を進めているとされる。

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