「ハイブリッド列車」運転免許は電車か気動車か エンジン搭載、モーターで走る車両が増加

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JR東日本広報部に同様の質問をすると、「内燃機関を用いて発電機を回転させることにより発生した電気で電動機を駆動させる方式の車両」、つまりハイブリッド車や電気式気動車は「電気車および内燃車に含まれる」という通達が出されているとのことだ。したがって、やはりどちらか片方の免許でよいということになる。

同社では、ハイブリッド車両は2020年2月までは内燃車免許の所持者のみが運転している。その後は、新規に運転する場合は電気車と内燃車両方の免許を持っているか、またはそれぞれの免許にプラスして必要な教育を受けた人が運転することになるという。つまり、今後は電車の運転士も教育を受ければハイブリッド車を運転できるようになる。

電気式気動車GV-E400系や、EDC方式の「四季島」も同様に、両方の免許、もしくは内燃車か電気車どちらかの免許に加えて必要な教育を受ければ運転できる。一方、非電化区間を運行する蓄電池電車は、電気車免許の所持者が運転するという。

人手不足対策にも有効

今後、鉄道の乗務員は人手不足が予想されており、自動運転(ドライバレス運転)の実験なども行われている。JR九州は今年2月中旬まで、BEC819系(DENCHA)を使って香椎線で走行試験を行っている。

電気式気動車やハイブリッド車両は、電車か気動車のどちらかの免許だけでよく、新たに別の免許を取得する必要はない。電車は主に多くの人が乗車する路線で運行しており、本数も多いため免許保持者も多く必要となる一方、気動車は比較的利用者や本数が少ない線区を走ることが大半だ。

鉄道事業者としては、限られた路線のために気動車の免許を取得させるのはコスト面で割に合わないとの考えもあるだろう。また、免許の問題がなければ、電車の運転士を非電化区間に回すこともできる。

走行性能だけではなく、こういった側面もあって、今後は電気式気動車やハイブリッド車両、蓄電池電車の導入が増えるのではないだろうか。人手不足対策としても、養成コスト対策としても、この種の車両の導入は合理的である。

小林 拓矢 フリーライター

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こばやし たくや / Takuya Kobayashi

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道・時事その他について執筆。著書は『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。また ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に執筆参加。

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