目指すは「日本最速」、JR東海ハイブリッド列車 試験運行を開始、2022年度の営業投入目指す
在来線でもこだわるのは「スピード」――。JR東海は2019年12月12日、開発中の試験走行車HC85系を報道陣に公開した。HC85系は特急型気動車キハ85系の置き換え車両として開発された。高山本線特急「ひだ」と紀勢本線特急「南紀」に投入され、2022年のデビューを目指すが、「日本最速のハイブリッド車両」という看板にもこだわった。では、ハイブリッド車両とは何か。
架線のない非電化区間を走るのはディーゼル車という通説が近年崩れつつある。JR東日本やJR九州などで非電化区間を走行する列車において、エンジン駆動以外の駆動方式を持つ車両が増えてきたのだ。
高速走行性能の向上は不可欠
ディーゼルエンジン駆動方式に代わる、非電化区間を走る次世代走行方式には大きく2つの方式がある。1つ目は架線式蓄電池電車と呼ばれるもので、車両に搭載した蓄電池を駅などの拠点で充電を行い、蓄電池の電力のみで走る方式。JR九州の「DENCHA(デンチャ)」やJR東日本の「ACCUME(アキュム)」などが代表例だ。ただし、蓄電池の容量と走行距離の兼ね合いや地上設備の関係から投入できる路線にある程度の制約がある。
2つ目がハイブリッド方式で、エンジンを走行の動力源とするのではなく、エンジンで車内に搭載された発電機を動かすとともに、ブレーキ時に発生する電力をためる車載蓄電池の電力を併用し、モーターを回して走行する方式である。HC85系はハイブリッド方式を採用している。
今まで他社で登場したハイブリッド車両は観光列車やローカル線輸送向けの車両だったが、HC85系は本格的な量産型特急車両を目指している点が特徴だ。
特急車両ということで、HC85系にとって高速走行性能の向上は欠かせない。とくに「ひだ」の場合、名古屋―岐阜間は東海道本線を走行し、同区間は高速で電車が行き交う幹線だ。現在でもキハ85系は搭載された2つのエンジンを駆使して時速120㎞運転を行っている。そのため、HC85系でもハイブリッド方式を採用した鉄道車両では国内初となる時速120㎞での営業運転を目指している。
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