経営危機の「JDI」がそれでも潰れない理由 100億円の不正会計疑惑で第三者委が調査へ
いちごにJDIへの出資を働き掛けたのはアップルとは異なる関係者だが、いちごはアップルとコミュニケーションを行ったうえで支援に手を挙げている。JDIは希望退職や工場の減損を実施済みで固定費は大幅に下がるため、アップルからの発注が安定すれば、ターンアラウンドは決して不可能ではない。
INCJによる貸借対照表の改善支援もいちごを後押しする。
すでにSuwaの出資を前提に、INCJが有する債権(JDI側からは債務)の1020億円分を優先株へ(デット・エクイティ・スワップ)、500億円を長期融資へ振り替えることを約束済み。600億円のつなぎ融資の200億円を含む446億円分をJDIが保有する有機EL開発会社JOLED株式で代物弁済することも合意している。
さらに、Suwaの枠組みでは決まっていなかった残り400億円分の短期貸付も、いちごの要請に応じて期限延期を認める方向。INCJはJDIに対する債権の回収を全面的に先送りすることになるが、少しでも回収可能性を高めるにはほかに選択肢がない。INCJが置かれた現実だ。
真相究明はできるのか
アップルとINCJはJDIの破綻を避けたい。当然、JDIも思いは同じ。いちごも勝算を見いだしている。前述のように、いちごによる出資が実現する可能性は意外に高い。
そのためには、不適切会計の徹底的な調査が前提となる。元幹部は通知後に自殺しており、その中で第三者調査委員会はどこまで真相に迫れるか。不正があった場合の責任追及も必要だ。JDIは公開企業であるだけではなく、4620億円もの国のカネが投じられているのだから。
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