経営危機の「JDI」がそれでも潰れない理由 100億円の不正会計疑惑で第三者委が調査へ

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Suwaが事実上瓦解した今、いちごまで撤退してしまえば、JDIの倒産は再び現実味を帯びる。INCJはいちごに出資をなんとしても実現したい。

いちごアセットマネジメントは、日本開発銀行やモルガンスタンレー証券で勤務経験がある米国人のスコット・キャロン社長が率いる資産運用会社だ。長谷工コーポレーションや富士通、チヨダなどの筆頭株主でもある。

2019年12月末までにSuwaから出資が実施されなければ、関連投資会社が800億円から900億円をJDIに投じる。具体的な条件はまだ決まっていないが、いちご側が50%以上の議決権を握り、キャロン氏が会長に就任して経営再建を主導する。

「りんご」の態度が豹変したワケ

営業赤字を垂れ流してきたJDIをいちごは再建できるのか。ここでもカギを握るのはアップルである。

JDIの危機に際して当初は冷淡な態度だったアップルはSuwaからの出資がなかなか実現せず、JDIが追い込まれるに従い徐々に支援の姿勢を示すようなった。

JDIが倒産した場合、現行の量販モデルiPhone11の生産に支障を来すことは避けたい。スマートフォン用パネルは有機ELへの移行が進んでいるとはいえ、機能と品質のバランスから液晶が完全になくなる時期はまだ見えない。米中貿易摩擦の高まりなどもあり、調達先として日本の重要が高まったこともプラスに働いた。

アップルは前受金の支払い期間延長、発注量の増加、支払いサイトの短縮など、JDIの資金繰り支援策を立て続けに打ち出し、条件付きながら最大2億ドルの資金支援も約束している。「この1年でアップルの対応が劇的に変化した」と関係者は振り返る。

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