新線開業や災害…2019年の鉄道ニュース10選 平成最後・令和最初の年は何があった?

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8) 車内販売が大幅縮小

スピードアップへの挑戦の一方で、旅の楽しみの1つでもあった新幹線や特急の車内販売は大幅に縮小された。

JR各社は売り上げの減少や販売員の人手不足などを理由に、今年3月に北海道、九州、秋田新幹線(盛岡―秋田間)で車内販売を終了。東北・上越・秋田・山形・北陸新幹線も6月までに、弁当や軽食類、ホットコーヒーの販売を取りやめた。新幹線で弁当やホットコーヒーなどの車内販売が続くのは、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」「ひかり」だけになった。

在来線特急の車内販売も、JR北海道が2月、四国が3月で終了。すでにJR東海・西日本は廃止しており、JR東日本の一部特急が品目を減らして継続しているほかは、観光列車などに残るのみだ。

9) リニア中央新幹線、JR東海と静岡県の対立が深刻化

2027年の開業を目指してJR東海が建設を進めるリニア中央新幹線のトンネル工事をめぐり、JR東海と静岡県との対立が深刻化している。

静岡県はトンネル工事によって大井川の水資源が大量に失われ、流域自治体や利水者の理解が得られないとして、県内区間の本格着工を認めていない。1都5県を通るルートの中で手つかずなのは静岡県内のみ。JR側は予定通りの開業を目指す姿勢を貫いているが、先行きは見通せない。

JR東海は工事で発生する湧水の全量を大井川に戻すと表明したが、静岡県はJR側が提示した工法では湧水が県外に流出する可能性があるとして反対。事態の進展に向けて今年8月には国土交通省も協議に加わったものの、同県の川勝平太知事は環境省や農林水産省なども協議に参加するよう求め、膠着状態が続いている。

鉄道は気候変動対策に役立つか

10)「飛び恥」で欧州の鉄道に脚光

ヨーロッパを中心に気候変動への危機感が増す中、二酸化炭素を大量に排出する飛行機を利用するのは「恥」という動きが広がっている。

注目を集める大きなきっかけとなったのは、スウェーデンの16歳の環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんの活動。ヨーロッパでは、航空会社が鉄道と提携して短距離路線を高速列車に置き換えるなど、鉄道利用を促進する動きも出てきている。

新年は「2020年代」の幕開けの年でもある。今後、日本は本格的な人口減少社会に突入し、鉄道も地方路線の維持や人材確保の困難さがさらに増していくだろう。また、自動車の自動運転技術開発が進むなど、交通全体を取り巻く環境も大きく変化しつつある。2020年代の鉄道は、はたしてどのように変化していくだろうか。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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