新線開業や災害…2019年の鉄道ニュース10選 平成最後・令和最初の年は何があった?

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今年3月に東日本大震災以来不通となっていたJR山田線の釜石―宮古間を引き継ぎ、従来の路線と合わせて「リアス線」として全線開業したばかりの三陸鉄道(岩手県)も各所で被災。現在も一部区間が運休しており、2020年3月中の全線再開を目指して復旧作業が続く。東北地方ではこのほか、宮城県と福島県にまたがって走る第三セクターの阿武隈急行も県境の丸森―富野間が不通のままだ。

線路への土砂流入や橋の流出など甚大な被害を受けた箱根登山鉄道(神奈川県)は、箱根湯本―強羅間の再開が2020年秋ごろとなる見込み。千曲川の堤防決壊で橋が崩落した上田電鉄(長野県)は、2021年春ごろの全線再開を目指している。このほか、10月25日の記録的豪雨による被害で小湊鉄道(千葉県)も一部区間不通が続いている。

悲願の都心直通が始まる

2) 相鉄・JR直通線開業

首都圏の大手私鉄の中で唯一、東京都心に乗り入れていなかった相模鉄道(相鉄)。11月30日、相鉄本線の西谷とJR線を結ぶ「相鉄・JR直通線」が開業、JRとの相互直通運転によってついに悲願の都心乗り入れを果たした。

11月30日に開業した「相鉄・JR直通線」の出発式(撮影:大澤誠)

直通列車の運転区間は海老名―新宿間(一部は大宮・川越方面へ直通)で、相鉄線二俣川から新宿へは最速で44分。利便性の向上による沿線活性化はもちろんのこと、ネイビーブルーの電車が都心に乗り入れることで、都心部での相鉄の知名度向上も狙う。

2022年度下期には、新横浜を経て東急線の日吉に至る「相鉄・東急直通線」も開業予定だ。

3) おおさか東線が全線開業

大阪でも鉄道ネットワークに変化をもたらす新路線が誕生した。3月16日、JR西日本の「おおさか東線」新大阪―放出(はなてん)間11.1kmが開業。2008年に先行開業した放出―久宝寺間とつながり、同線が全通した。

おおさか東線の全線開業と、新大阪ー奈良間の「直通快速」運転開始を祝う式典(編集部撮影)

同線全通により、大阪東部の「鉄道空白地帯」の利便性が向上するとともに、新大阪から奈良へのアクセスも改善された。全通に合わせ、新大阪と奈良を乗り換えなしで結ぶ「直通快速」が運行を開始。11~12月上旬の休日には両駅をノンストップで結ぶ臨時特急「まほろば」も運転した。訪日外国人客の増加が続く奈良の人気アップにも寄与しそうだ。

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