ECBは6日に追加緩和へ 不胎化停止が有力な選択肢か

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3月3日、ECBは今週開く理事会で、ユーロ圏の低インフレや金融市場の流動性低下に対応するため、追加緩和を実施する見通し。写真はドラギ総裁。フランクフルトで1月撮影(2014年 ロイター/Ralph Orlowski)

[フランクフルト 3日 ロイター] -欧州中央銀行(ECB)は6日に開く理事会で、ユーロ圏の低インフレや金融市場の流動性低下に対応するため、追加緩和を実施する見通し。

2月ユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値は、前年比0.8%上昇となり、ECBが目標とする「2%未満で、その周辺」を大幅に下回った。欧州の銀行による長期流動性供給オペ(LTRO)資金の早期返済により、市場の流動性は低下している。

政策金利は既に低水準で利下げ余地はさほどなく、小幅な利下げを行ってもどの程度効果が見込めるかは不透明だ。そのため、ECBの政策の選択肢の中では、証券市場プログラム(SMP)の不胎化停止が最も有力な候補と言える。

SMPの不胎化は、ギリシャなど債務危機に陥っていた国の国債を購入した際に市場に放出した資金を吸収するため導入されたが、ECB関係者によると、不胎化措置を停止することで、約1750億ユーロ(2420億ドル)が市場に放出される。その結果、ユーロ圏金融システムにおける過剰流動性はほぼ倍に増え、銀行間金利は低下し、ユーロは下落するとみられている。

ドイツ連銀は、ECBの政策対応として、中銀預金金利をマイナスに引き下げるよりも不胎化停止を支持している。

ドラギ総裁は、中期的なインフレ期待の悪化や短期金融市場の「不当な」ひっ迫が追加措置につながる可能性があると指摘。

総裁は3日、欧州議会で、ユーロ圏のインフレ率が長期間にわたり低水準で推移する状態が続けば、目標に向かって再び引き上げることが困難になるとの認識を示した。

ECBは今回初めて2016年までのスタッフ予想を公表する。ドイツ銀行のエコノミスト、GillesMoec氏は、新たな見通しはECBに行動する根拠を与えることになるかもしれないと指摘する。

現実的解決策としての不胎化停止

ECB理事会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁は、2月19日、不胎化停止について、全てのメンバーの合意の下で決定されることが重要とした上で、「(合意に)近づきつつある。批判的な意見はさほど聞いていない。ただ、この問題は慎重に検討されるべきだ」と語った。

国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は3日、欧州の低インフレが長期化するリスクが浮上しているとし、政策当局者に対応措置を講じるよう提言した。

ドラギ総裁はユーロ圏はデフレには陥っていないと主張する一方で、インフレが「危険水域」とされる1%を下回る水準にとどまるリスクを指摘している。

また、エコノミストの間では、ECBがデフレリスクと景気低迷に対処するため、年内に量的緩和実施を余儀なくされるとの見方が増えている。

不胎化の停止は、量的緩和ほどのインパクトは望めないものの、ある程度の効果は期待でき、ECBは緩和スタンスを維持し、必要なら行動する用意があるとのメッセージを送ることができる。

前出のGillesMoec氏は「ECBとして不胎化停止は落としどころかもしれない」と指摘。「不胎化停止は、マイナス預金金利ほど心理的なインパクトはないかもしれないが、さほどの副作用もなく短期金利に影響を与えることができる」との見方を示した。

(Paul Carrel記者;翻訳 伊藤恭子 編集 山川薫)

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