マカオに登場「ゆりかもめの兄弟」新交通の実力 カジノの街に初の軌道系交通機関が開業
日本連合の勝因として、マカオ半島とタイパ島を結ぶ斜張橋方式の西湾大橋(2.2km)の存在があるとされる。同大橋は将来の軌道敷設も前提として設計されたものの、具体的な鉄道計画には至らないまま建設され、2004年12月に完成した。日本方式では橋に大掛かりな補強改良工事をせずに軌道を敷設できることが有利に働いたとも言われている。
システムには、AGT車両、信号・列車制御設備、供電設備、通信、軌道、メンテナンス設備、ホームドア、料金機械等が含まれる。2012年末から7年の工期を経て、2019年9月に引渡しを完了した。さらに開業後5年間にわたる車両のオーバーホールメンテナンス契約も新たに受注している。
各駅などには、日立製作所製の蓄電池式回生電力貯蔵装置(B-CHOP)15台を設置した。停止、減速時に発生する回生電力を蓄電池に貯蔵して利用することで、消費電力を10%削減するシステムで、軌道系交通システム全線にB-CHOPを導入するのは世界初という。
カジノが並ぶ地区を走る
今回開業したのは、大型リゾートホテルやカジノが並ぶタイパ地区とコタイ地区にまたがってU字型に走る全長9.3kmの路線だ。
香港や深圳とを結ぶ高速船が発着するタイパフェリーターミナル駅を起点に、1995年に開港したマカオ国際空港や、中国・珠海市とを結ぶ蓮花大橋の出入境ゲート近くの蓮花口岸を経由して終点の海洋駅に至り、海、空、陸の3つのマカオの玄関口を結んでいる。
駅は全11カ所で、駅間隔は約900m。海洋駅は地上、そのほかは高架駅となっている。海洋駅からは、前述の西湾大橋を経由してマカオ半島へ渡り、中国・珠海市拱北口岸(出入国ゲート)のある関閘駅へ至る10.3kmの区間が、第2期プロジェクトのマカオ半島線として計画されている。
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