マカオに登場「ゆりかもめの兄弟」新交通の実力 カジノの街に初の軌道系交通機関が開業
日本製の全自動無人運転車両システム(Automated Guideway Transit : AGT)を導入したマカオ初の軌道系大量輸送機関、澳門軽軌(マカオLRT)が、マカオの中国返還20周年を目前に控えた2019年12月10日に開業した。
今回開業したのは、タイパ島内を走る第1期プロジェクト区間、延長9.3kmのタイパ線だ。開業日の午前中にはセレモニーが車両基地で開かれ、マカオ特別行政区の崔世安行政長官(当時)をはじめ、三菱重工エンジニアリングの寺沢賢二代表取締役常務執行役らマカオと日本の関係者が出席し、当地に初めて誕生した軌道系交通機関の完成を祝った。
営業列車は、午後3時半過ぎから運行を開始した。年内12月31日までは運賃無料扱いとし、初日から1週間で約21万5000人が乗車したという。
日本勢がシステム一式を受注
マカオで軌道系交通機関の整備計画が浮上したのは2000年代初頭だ。マカオ政府は、急速な都市開発に伴う交通渋滞の解消と移動の定時性確保、観光客の増加に対応するため、2002年に軌道系交通機関の導入を施政方針の検討事項内に明記した。
香港地鉄(現・香港鉄路)にコンサルティング業務を委託して調査、研究の結果、2007年に高架システムによる新交通システム採用と基本ルート案を決定。同時に第1期プロジェクトの国際競争入札実施を発表した。
その結果、2010年12月に伊藤忠商事と三菱重工エンジニアリングの連合体が、中国・ドイツ(シーメンス)連合、中国・カナダ(ボンバルディア)連合を抑えて46億8800万パタカ(当時レート:約480億円)で駅舎と土木工事を除くAGTシステム一式を落札。2011年3月マカオ政府・運輸基建弁公室と受注契約を締結した。
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