2020年の株価予測でチェックすべき5つの指標

景気の波をつくり出す製造業の動向に着目

IT関連財の「在庫」が生産の先行指標になると言及したが、だからと言って新規受注が増えなければ、生産は回復せず、企業業績も上向かない。そこでIT関連財の受注を逸早く察知するために機械受注統計の「電子計算機等」の動向をチェックすることが有効になる。この分類には半導体製造装置が含まれるため、その増加は半導体メーカーが積極的な生産計画を立てたことを映し出す。

現在、電子計算機等の受注額は2018年終盤からスタートした前年割れの状態を脱し、最新の10月データではプラス圏に浮上した(振れを均すため3カ月平均の数値で判断)。IT関連財の在庫が減少に転じると同時に半導体製造装置の受注が増えたとなれば、投資家の期待が膨らむのはある意味自然な流れだろう。この指標も日経平均と連動性がある。

「工作機械受注」は最終製品の生産計画を映す鏡

工作機械とは自動車、スマートフォン、家電製品、デジタル機器、時計などに使われる(主に)金属製の精密部品を加工する際に用いられる。そのため受注動向はそれら最終製品の生産計画を反映する鏡のような存在で、実際、先進国景気の包括的指標であるOECD景気先行指数と密接に連動する。

それを踏まえて足もとの受注動向をみると、受注額は前年比で40%程度も減少している。企業のコメントによれば、5Gを含め半導体関連の需要が増加し始めている反面、そのほかは停滞が続いており、とくに自動車向けの不振が目立つと言う。この構図は内閣府公表の機械受注統計でも同様であるから、工作機械受注統計に固有の要因があるわけではなそうだ。自動車は輸出が減少基調にある中、国内販売は消費増税の影響もあり不振に直面している。

消費増税後の10~11月の乗用車販売台数は7~9月期平均を2割程度も下回った。足もとの生産は驚くほど弱く、最新の10月データは(台風の影響を受けたとはいえ)アベノミクス開始初期の2013年平均すら下回る状況である。そうした環境下で将来の生産計画が慎重さを増している可能性があるだろう。9月以降の日本株は半導体関連銘柄を中心に上昇してきたが、ここから一段と上値を伸ばすには、「半導体以外」の業績回復が条件になる。

そのほかセクターへの波及という点では、こうしたデータを注意深くチェックしていくことが重要と思われる。

以上、筆者が注目している5つの指標を示した。当然のことながら、景気や株価の予想にあたって、この5つのみでは不十分だが「省力化」という観点では的を射ていると思われる。

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